随筆:「文脈空間推論演算」

by ご近所のきよきよ


 
 文脈空間は、文章理解における、オブジェクト間の関連を推論するための機構であります。「Aの右にBがある」という文と、「Bの左にAがある」という文は等価であるということを推論したいことは多々あります。そういった推論を解決するのが文脈空間です。
 意味としては、
(1)空間内のオブジェクトのパターン認識結果
(2)空間内のオブジェクトの包含関係
(3)空間内のオブジェクトの位置関係、方角関係
が考えられます。
 日本語文認識として、当面はパターン認識結果は必要ないようです。そこで、オブジェクトの包含関係と位置関係、方角関係を求めていくことになります。それは、
(1)AからBへの関係から、反対の関係、BからAへの関係(2項関係)を推論すること
(2)AとBの関係からAとCの関係が分かっているとき、CとBの関係(3項関係)を求めること
 
であります。それは、はじめビットマップで推論していくものと思っていましたが、どうも記号論で実現できそうです。以下にこの操作を記述していきます。参考にしてください。
 
 
[向き]
(1)OからRを向く=O>,R
(2)RからOを向く=O,<R
(3)OはRと反対を向く=O<,R
(4)RはOと反対を向く=O,>R
(5)合成=例(1)と(2)の合成
OからRを向きかつ、RからOを向く=O>,<R
 
(6)OはRと直行する(順方向)=O∧,R
(7) OとRは同じ方向を見る=O∧,∧R
(8)OとRは逆方向を見る=O∧,∨R
 
[配置]
(1)b:before
(2)h:hind
(3)r:right
(4)l:left
(5)u:up
(6)d:down
 
[2項演算]
(1)OとRが向かい合っていてOの前にあるものは、Rの前にある。
O>b,<R==:O>,b<R
(2)OがRに背を向けていて、RがOを向いているとき、Oの後ろにあるものはRの前にある。
O<h,<R==:O<,b<R
(3)その他
O∧r,∧R==:O∧,l∧R
O∧l,∧R==:O∧,r∧R
O∧r,∨R==:O∧,r∨R
O∧l,∨R==:O∧,l∨R
O∧r,<R==:O∧,b<R
O∧l,<R==:O∧,b<R
 
[3項演算]
  第3項の位置を求める。Mを第3項とする。OとMの関係からRとMの関係を求める式を以下にあげる。
  O>bM,<R==:O>,bM<R(意味の説明:MはOの前にある。かつ、OはRを向き、RはOを向く。そのとき、MはRの前にある)
O>aM,<R==:O>,bM<R
O∧bM,∧R==:O∧,bM∧R
O∧bM,∨R==:O∧,aM∨R
O∧uM,∧R==:O∧,uM∧R
O∧uM,∨R==:O∧,dM∨R
 
  O∧rM,∧R==:O∧,lM∧R
O∧lM,∧R==:O∧,rM∧R
O∧rM,∨R==:O∧,rM∨R
O∧lM,∨R==:O∧,lM∨R
O∧rM,<R==:O∧,bM<R
O∧lM,<R==:O∧,bM<R
 
  O>rM,<R==:O>,lM<R;
  O>lM,<R==:O>,rM<R
  O>dM,<R==:O>,dM<R
  O>uM,<R==:O>,uM<R
  O<rM,<R==:O<,rM<R
  O<lM,<R==:O<,lM<R
  O<dM,<R==:O<,dM<R
  O<uM,<R==:O<,uM<R
  O>rM,>R==:O>,rM>R
  O>lM,>R==:O>,dM>R
  O>dM,>R==:O>,dM>R
  O>uM,>R==:O>,uM>R
 
 

おわり