随筆:「クラウド」

by ご近所のきよきよ


 

 クラウドコンピューティングとかグリッドコンピューティングとか名前はよく耳にするようになりました。なにかなと思ったりして、勉強することがありました。そうしたら、これらは昔のメインフレームのアーキテクチャをインターネットのアーキテクチャで実現しようとしているものなのだなということに気が付きました。昔は箱のなかでアーキテクチャを考えていて、今は世界規模の大乗的なアーキテクチャになっていて、質の違いにまでなっていますが、追求するところは同じだなと。


 アーキテクチャの大枠の問題とは対話処理とバッチ処理をどう実現するかという問題なわけです。メインフレームの頃は、基本的にバッチ処理だったわけで、それに対話処理としてTSSが出てきた(TSSは人工知能の研究から生まれたのだそうです)。その線でOSの研究開発が進んでいったのですが、パソコンの時代になって、バッチ処理は殆ど見えなくなって、主に対話処理が表にでてきた。パソコンは自分のなかにソフトウェアを持ちましたが、それだとセキュリティの問題とか、プログラムの配布、管理の煩わしさといった問題からシンクライアントという、メインフレーム時代のTSSみたいなアーキテクチャが考えられました。また、それと同時に、パソコンサーバにバッチジョブを実現しようと言う動きもあった。

 インターネットになって、このバッチジョブの運用をインターネットで大々的に実現しようというのがグリッドコンピューティングですよね。そして、シンクライアントがクラウドコンピューティングになった。アーキテクチャとしてみればそんなところですよね。

とすると、クラウドはグリッドのポータルシステムとも見られるわけですね。TSSからバッチジョブを投入するのは日常の作業でしたから。submit XXXXXとかコマンドを打ち込んで。


 でも、この変遷はビジネスでは大きな質的転換だったとか。データセンターみたいな集中施設運用とか、SaaSのような分散運用とか、アウトソーシング、自前計算センター運用とか、ユーザの選択肢、ベンダーの立ち位置の選択肢とかが格段に広まったということですか。

 技術としても面白い研究課題が沢山生まれているようです。自律コンピューティングとか、セキュリティ管理とか、ユビキュタスとの関連とか。規模の拡大は質の革新を呼ぶということのようです。


 

おわり