随想:「デフレ」

by ご近所のきよきよ


 

 今の物価下落はイノベーションの活発化によるものと思われますがどうでしょうか。家電やパソコンなどは昔からどんどんと安くなる傾向がありました。それはイノベーションによるものであり、ものすごい技術革新があったのです。それが今や、衣類や食べ物などに及んでいるのです。家電のイノベーションは技術革新だったのですが、食べ物や衣類などのコモディティ製品ではビジネスモデルがイノベーションの対象になっているのではないでしょうか。単に食べ物や衣類を調達して売るというモデルから、生地を作るとか、農業をするレベルから、流通、販売、企画までも総合的に統合して最終製品を売る。それで、価格形成力とかを手中にして、安く売れ(高く売れ)しかも利潤がでる。


 価格破壊をする企業はイノベーションで新しいビジネスモデルを作るのですが、競争を挑まれた企業が無策であれば、人件費を低減したり、利潤を低減したり、下請けをいじめるという風に流れていくわけです。それがデフレという現象になるのでしょう。イノベーションで挑まれた企業は、別のイノベーションでビジネスモデルを強くして対応すべきなのですが、なかなか難しくて。例えば、衣類の企画、製造、販売の統合モデルに対応するには、素材の多様性、顧客の多様性を訴求するように、多品種少量の製造をいかに高度化するかに知恵を絞るというような生き方もあります。化学繊維全盛の今でも、絹は人気です。


 今の価格低下を招くイノベーションをデフレとしないためには、イノベーションしかないのではないでしょうか。そして、イノベーションは従来のボリュームゾーンの仕事がどんどんなくなるということです。仕事がないのは新しい展開を目指さないから起きることではないでしょうか。なかなか新しいことは見つからないものです。情報を他人から得ていく必要があります。そのためにも人脈が貴重です。アイデアを持っている人には人脈になっていてほしいもの。ものつくりの現場を繋ぐプロジューサーを自治体に期待したいものです。資金以上に情報は貴重だと思うのです。そんなものを、地道に物つくりしている人々に注いでいく使命が自治体にあるとおもうのです。資金は銀行、情報は自治体。人脈を作っていく努力を各中小企業はしていくべきでしょう。そして、一流のプロジューサーを共有していくようにしましょう。


 理科系の学生はやはり、なにか物つくりができるようになっているべきでしょう。芸術を志向する人は創造的活動を学び屋で追及していきます。そんなことが理系の学生でもあるべきでしょう。私は、そこまで物つくりをしなかったので、企業に入るしか生きる道がなかったのです。今は、やろうと思えば、売れるものが作れる自信があります。ここまでくるのに私は何十年も掛ってしまいましたが、学び屋を卒業するときには、やはり知識だけでなく、一人でも、物を作れるようになっていたいものです。自分が作れなくても、人脈、学閥でもいいですが、企画を持ち込めばものが作れるという環境を手に入れておくことも大切でしょう。頑張りたいものです。


 

おわり