随筆:「入試問題のパターン」

by 小山明雄



 入試問題を分析しています。その中の一例を次にあげます。

(1) 棒線の箇所のカタカナを適切な漢字に書き改めよ。

(2) 防戦の箇所「外への方向と内への方向が二つで一つであるような知であり、客観知を超えた次元の上に成り立つ知である」とあるが、それはどのような知か、本文の内容に即して二十字以内で簡潔に記せ。

(3) 棒線の箇所「これは一見皮肉な現象のようであるが、案外そこに真実が現れているのかも知れない」とはどのようなことか、本文の内容に即して七十字以内で説明せよ。

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(1) は同音異義語群から、文脈により、曖昧性無く正しい単語を選ぶ問題である。

(2) は本文に記述してある情報と、その内容に形式が同じ知識を基に、知識をコンパイルして作り、二十字に要約する問題である。

(3) (2)と同様な問題である。


 この他に論文を書く問題があるが、それらは種となる情報があって、知識を問う問題なわけで、大体、同じパターンといえる。知識には記述された知識と、視点を変えて記述した知識を再度解析して得た知識と、まったく新しい知識を知識の構造から推論する(比喩のような推論)知識とがあるのが分かります。ここが入試では問われるのです。


 処理のスキーマとしては、単語群から文脈を推定し、文脈に保存されている(連想される)知識の固まり(モデル)を取り出し、必要ならば、他のモデルも連想で取り出し、文章として表現できるような知識にして、最後に要約して回答文章を創っていく。そんな過程です。

 単語群から文脈を推定することは、意味記号セットというパターンから文脈(知識のモデル)を投票していくことです。オントロジーとパターンと連想が重要になります。モデル間の関係は連想(リンク)で管理します。要約もオントロジーと文章パターンが重要になります。オントロジー記号セットから単語を推定することも必要です。文章は意味記号でなく単語の連鎖にしないといけないからです。どんな表現、構造にするかという知識もパターンとして知識化されたものです。



 
 

おわり