考察:「フレーム問題:連想と推論とオントロジー」

by ご近所のきよきよ


 
 ずっとフレーム問題を考えています。今先端の検索エンジンは連想語検索に力が入っているのだと朝日新聞の記事にありました。あれって、実際に体験しても結構心地よさがありますね。面白いと思いました。私の場合は、意味理解の研究をしていますので、セマンティックウェブのフレーム問題と丁々発止の戦いをしているわけですが、連想問題なら出来高払いの感じで、ここまでできていなくては役に立たないというようなスレショールドがないように感じますから、実用的なシステムを追求するにはいいかもと思えます。つまり、連想問題ならばフレーム問題とは無関係ではないかと思えるわけです。
 本当にそうでしょうか。例えば「都市」といったら、日本の人は「東京」と連想しますでしょう。でも、私流なら「長野」ははずせません。自分の生活圏に密接に関連している単語が一番連想の対象なわけです。ですが、インターネットでヨーロッパの話題を追っている時ですと、「ロンドン」とか「パリ」とかがあがってきます。また、よく知っている都市名でなくて、なんか思いも掛けないような都市名が出てきて欲しいこともあります。
 こう考えていくと、連想として必要な知識は無尽蔵に必要になってくることが分かります。しかも視点というか文脈というか、そういうもので検索を制御できるように成っていて欲しい。その視点をも分類したりして明示できたり、コンピュータが自動的に推論して利用してりできるようになっているべきでしょう。それって、突き詰めていけば、フレーム問題ではないでしょうか。
 
 今の検索エンジンのトレンドは連想検索であるということですが、基本的にその技術はセマンティックウェブと同根なものであるといえます。ならば、これら二つは同じ技術として追求していくべきものでしょう。その基本はやはりオントロジーでしょうか。セマンティックウェブはオブジェクトをオントロジー化していく一方で、連想はオブジェクトの関係をオントロジー化していく。両方がオントロジーの共通の基盤に乗れば、インターネットの全ての情報がどんな組織に対しても流通できるものになる、一大知識ベースが構築されていく事になります。
 
 ところで、連想は何をキーにして作られるものでしょうか。全く無関係なものでも、ある場所にたまたまいたということで、連想関係をもつことがあります。でもそれでも、キーは「ある場所」でしょう。連想はまさにオントロジーで表現すべきものなのです。
 また、連想にはプリミティブみたいな事象があるのでしょうか。あると言えます。連想のキーは何らかの事象であり、事象は人間の認知機構の基盤ですからクオリアに接地しているはずです。それはセマンティックウェブで定義されていくものですから、ここでも連想検索とセマンティックウェブとの共通の技術があることが見て取れます。
 逆に言うと、連想のキーとはどうゆうピリミティブの集合に成っているかを理論立てて追求することが肝要ということです。行き当たりばったりではいずれ収拾がつかなくなるし、今自分は技術のどこにいるのか道に迷うことになります。連想キーを把握して、単語の共起、事象の共起をコーパスから収集していき、連想検索を実用化していくのがよいように思われます。頑張りましょう。

 
 

おわり