考察:「意味処理の基礎」

by ご近所のきよきよ


 
 意味とはやはり身体性のものだと思うのです。自分がどう感じるか、どう行動するか、どういう状態にあるか、というような事が、全ての世界認識の原点だと思うのです。ミラーニューロン系によって、他人の活動も自分の身体の事として取り込んでいく。そうした物が意味処理の基盤ではないでしょうか。
 
 「歩く」、「食べる」、「舌を出す」・・・と、こうした行動は身体の中に情報の塊、すなわち記号として存在していて、関連するセンサ(感覚器)や筋肉(効果器)の発する様々のデータをその内部にもっている。脳内の概念としては記号化した情報ですが、その下部には身体性の豊かな情報がしまわれている。
 そういう風にとらえると、基本記号は有限個でしょうから、それらは記号オントロジー(クオリア)となる。一方で、感覚器や効果器もプリミティブな情報の単位で動作しているはず。これはイメージベースオントロジーとなる。2段階のオントロジーが必要になりそうです。
 記号オントロジーについては「考察:学習機構」などで、いろいろと考察してきました。今回はイメージベースオントロジーのプリミティブを考えてみたいと思います。イメージは次の3種があると思えます。
(1)3次元図形
(2)運動
(3)力
 だから、これらを分析して、最小の単位を抽出することが最初の仕事になります。思いますに、これらのものは、
(1)連結性
(2)交差性
(3)配置
(4)向き
という情報になりそうです。そうして、オブジェクトとしては点と線と面です。これらを量子化して、位相を埋め込むと、プリミティブ群が得られていくということです。だから、イメージベースオントロジーから記号オントロジーへの情報抽出(パターン認識)はそんなに複雑には成らないように思えます。なんか実現出来そうです。
 
 更に上の情報としては言語と接点をもたねばなりませんから、
(1)動作(動詞)
(2)オブジェクト(名詞)
(3)属性(形容詞、副詞、助動詞など)
(4)格(助詞などの格相当語)
といった情報を抽出していかねばなりません。
 属性情報は身体(ロボット)が持っているセンサ情報のメトリックを値に持ったもののパターンで、重要なパターンがプリミティブになるわけです。
 格は、概念依存表現にありますように、「移動」する物の始点と終点、それと経由点の関係情報です。
 このように、動作、オブジェクト、属性も格もパターン認識技術でサポート出来ます。また、配置、向きも身体と空間の配置関係で簡単に解析できます。そうして、プリミティブとして記号化できます。
 
 このように、原理は簡単な様ですが、手作業でプリミティブ体系を作ったり、その上の実単語(記号)を作っていくのは、量が多くて、現実的なことではありません。自律学習機構がどうしても必要なことです。
 先決問題として、パターン発見装置の開発が必要で、それをもとに記号の抽象化機構も開発していって、最終的に学習機構を完成させる事ですね。これが重要なことになります。
 
 
 

おわり