考察:「ミラーニューロン系とオントロジー」

by ご近所のきよきよ


 
 自分が行動するとは、何らかのアウトプットのイメージというものがあるではないですか。手を動かすのはなんらかの神経パルスを手の方に送ることですが、脳としては手を伸ばすとか、手を引っ込めるとか、ものを握るとかをイメージしているわけで、しかもそれは生まれながらのことであるとすれば、身体の動作のイメージというかモデルは生得的に備わったものと考えるべきですね。とすると、母親が舌を出したのを赤ちゃんがそれを「舌を出す行為」と認識して、自分も舌を出すという動作は当然そうあるべき脳の仕組みということになります。神経パルスのパターンには必ず身体動作モデルがあるのだという事実・・・これがミラーニューロン系として仕組まれている、そう考えることが自然ですね。
 
 オントロジーですが、今は記号定義のみが成されていますが、イメージというかモデルをオントロジーとして表現できないといけないと思うのです。例えば、「歩く」という行為を記号だけで定義しようとすると、どんどん定義項目が増えていって際限ないことが分かります。
(1)地面に足をつける
(2)足を交互に出す
(3)動物の行為である
(4)移動手段である
・・・・・
 それに、定義項目は記号ではなくて、格構造をもったフレームとして定義したくなります。
 ということで、イメージ(動画イメージ)としてもオントロジーは表現できて、オンデマンドでパターン認識して記号化していく・・・というモデルが大切だと思うのです。オントロジーの抽象度は既にパターン認識して記号化(フレーム化)したものを連想させて答えとするレベルの問題だと考えるわけです。
 その辺の機序をアウトラインします。「歩く」という単語を例に挙げます。「歩く」のイメージは次のようになるでしょう。
       

     図1 「歩く」イメージ

 
 このような図はボクセルで持っていて良いのですが、解析が大変です。そこで、頭とか、胴とか手足、地面を部品オブジェクトとして持っていて、その合成で表しておくと、解析に便利になります。
 基本パーツオブジェクトは次の4つになるでしょう。
(1)剛体
(2)弾性体
(3)メタボール(粘土のように自在に変形するオブジェクト)
(4)関節
 
 また解析のポイントは3つに分類出来ます。
(1)接続関係
(2)形
(3)配置関係
 
 そこで、様々なパーツの位置関係や運動、変形とコーパスとの関係を知識ベースに持っていて、オンデマンドでパターンマッチングして、特定の文章を得るようにすれば、意味理解とすることができるでしょう。フレーム問題がクリアされるわけです。
 「歩く」のイメージから「移動手段である」とか、「交互に足を出す」とか、必要に応じて意味記号を得ていけばいいのです。
 
 
 
 とすれば、ミラーニューロン系はオントロジーシステムであると言えることになるわけです。
 
 

おわり