考察:「Neuronネットワーク」

by 小山明雄



 曖昧性処理技術の核はなんでしょうか。ずっと考えているのですが、次の2つしか思い浮かびません。

(1) 重み付き投票法(ファジー理論に近い)

(2) 知識による情報補完


 いままでの信濃システム開発で、使ってきたのはこの2つですね。これで、全ての場合の曖昧性(画像認識、自然言語処理、音声認識)は解決するのでしょうか。これから追及していくことになります。


 その前に、信濃プロジェクトに技術の土台を据えてしまいたいと考えています。和葉と若葉が少し動いていますので、あとは思考と行動制御と学習機構を作りこんでいくことです。今回は、その仕様をまとめていきます。

 自律学習には、次のものがキーポイントになるようです。

(1) センサー、アクチュエータとオントロジー

(2) 概念とか単語、文章とかのモデル(知識の固まり)

(3) これらの間の連想の重みづけ


 これらを生成、変更、アクセスしていくことが人工知能の基盤になると考えられます。人手で作るのは基本的なプロセス群で、あとはできるだけ自律学習に任せることで、膨大なデータシステム(知識ベース)となるはずの人工知能システムを構築可能とすることが肝要です。

 ロボットを大まかに把握すると、次の4つのパートからなっていると考えられます。

(1) センサー値、オントロジーセットを入力とする。

(2) アクチュエータへのオントロジーとアクチュエータ値とする。

(3) センサー値からアクチュエータ値を求めるパラメータテーブルを参照する。

(4) (1)と(2)、(3)を連想させる機構


 これら4つのパートは重み付き投票で(促通と抑制がある)スレショールドを越えると、連想を発火するようにしています(Neuronネットワーク)。それと、オントロジーの意味のある塊を概念モデルとして・・・基本的にRDBのテーブル・・・知識ベースの基盤としています。(1)、(2)、(3)、(4)はオントロジーの上位概念のモデルを対象にして作っていきます。そのオントロジーを創っていくのが人手で、作ることになります。また、センサーと基本概念が基盤オントロジーとなっていて、その上に上位の概念を創っていくことになります。


 学習をするのは、Neuronの対象となるモデルの創生と修正であり、投票の強さであり、スレショールド値であります。もちろん、Neuronも作っていくことになります。それらは、基本的に共起関係を把握する機構をもって行います。全ての連想関係を逐一スキャンして共起関係を発見していく・・・新規な共起とか、既存の共起とか、雑音の削除とかあります。

 その共起を把握するプロセスで基本的に重要なのが、センサー値とオントロジーの変換部(アクチュエータ値とオントロジー)であり、その上のモデルを創っていく過程です。どのセンサーにフォーカスされているかとか、センサー値のセットのどの部分がオントロジーになるか、オントロジーのどの集まりがモデルになるかを決定していく過程が難しい技術になります。これも、重み付き投票法で行い、特に、センサー値の固まりを切り取るのは、切り取りを行うのに有用となるモデルがあるのでしょう。この辺は人の手で作りこんでいくことになります。そうしていくと、概念モデル群が集まって、さらにその上位のモデルをつくるとかありますから、オントロジー・概念モデル群はツリー構造で管理されていくことになるでしょう。RDBに知識ベースを保存するとしても、単語や文章のように概念モデル群も永続化しておかねばなりません。人工知能の立ち上げは時間が掛っても、辞書だけでなく、概念モデルやオントロジーのツリー構造を再現していかねばなりません。


 共起関係の解析はデータマイニング技術ですし、画像からオントロジーを得ていくのに必要な概念モデルは何か・・・・・。音声認識の概念モデルはなにか・・・・・。言語のモデルはなにか(概念モデルを単語や文、文章に発展させていく機構)・・・・・。これからの課題です。




おわり