考察:「人間のパターン認識能力」

by ご近所のきよきよ


 
 この夏は、未夢の文章生成系を作りながら、「認知インターフェース(加藤隆著 オーム社刊)」を読んでました。人間の能力に改めて感銘を受けたところです。人間の認知能力はすごいのです。そして、その基盤に強力なパターン発見、パターン認識能力がある。例えば、マルコフ過程の確率規則で記号を生成していっても、人間はその生成パターンを的確に把握して、次に提示される記号を予測するのだそうです。そのパターン学習は無意識に行われ、被験者自身も自分がなにをやったのか分からないのだそうです。
 
 今、私は自然言語処理の研究をしていますが、この無意識下の強力なパターン発見、認識過程というものが人間の認知の基本にあるということを肝に銘じておかなくてはいけないとこの本によって気づく事ができたのでした。手作業で文法を発見して、辞書に記録していくというのは当面必要なことですが、同時に自動学習というものを追求していかねばならない。それは、文章パターン発見機構の研究として本格的に展開展開していかなくてはならないものだということです。
 未夢の夏樹パッケージで、少しテキストマイニングに踏み込んだのですが、これを大々的にやっていくことになるでしょう。具体的な目標データを抽出するプログラムを沢山作っていくという過程の中で、それらの向こうにある本質的なパターン発見、認識機構というものが見えてくるものと信じます。動物は、初めは目的別にパターン発見をしていたと思うのです。人間のように大きなシステムではそれが汎用化して、今の強力なパターン発見、認識機構へと発展していったのではないでしょうか。いきなり汎用パターン発見、認識機構を作れと言われても、とまどうばかりですから。
 
 とにかく、なんかもやもやしてますが、なにかパターン発見、認識という能力は理論化できると感じています。かつての言語理論のように、リレーショナルデータベースのように、なんか綺麗な体系があるのではないでしょうか。公理があって、定理があるというような体系。それを打ち立てるのは誰か・・・などと煽動してしまいましょう。これから本格的な秋になります。秋の夜長、涼しい秋の夜、挑戦したいものです。
 
 

おわり