考察:「意味理解処理3」

by 小山明雄



 自然言語処理で、最後のパートの意味理解とはどんな過程でしょうか。人工知能の理解システムは様々なアクションを引き起こすパートでしょう。そこは作りつけの機構であるはずです。学習によって成長する部分ではない。理解のプリミティブ要素と行動のプリミティブ要素は作りつけということです。オントロジーですね。


 一方で、言語とは学習によって様々な表現が獲得されます。一つの意味を表す日本語の表現は様々です。「考えが同じ」という表現には以下のものが考えられます。

(1) 同じ考えです

(2) そう考えます

(3) その立場に立っています

(4) 考えを共有しています

(5) そこを占めています

(6) ・・・・・・・



 基本的に、理解はイメージで表現されるでしょう。イメージとして、自分の脳活動を概念領域として、そこが他者の概念領域と重なっているような図形を描きます。この辺は自然言語から図形を描くコマンドが実行されるシステムということです。図形処理がプロセスとして望まれます。これは、図形処理のプリミティブというものを想定していただくと、人工知能の理解システムが作りつけという要請にぴったり答えるものです。そこから、共通する部分を記号化するプリミティブなイメージ解析プロセスがあることも納得いって、理解が唯つ実現できるシステムが構築できることが示されました。イメージ解析にもプリミティブプロセス群があるのです。それで十分なのです。この場合は集合論解析プリミティブです。


 そのように基本的には意味理解はイメージ世界を通して実現されますが、学習機構によって、文の解析結果から直接、理解のオントロジーを発火させる連想が形作られていきます。表層の文の構成単語からその意味を理解する連想から始まり、同じようなパターンを収集して、単語の持つ意味記号とか、掛かり受け・格情報からという深層の意味記号表現から理解オントロジーを発火するという風に学習が深まっていきます。ここまで来ると、初めての表現でも意味を推論できるようになることができ、イメージを介さない高速な意味把握力をもつことになります。言葉が命を持つようになるのです。



 意味理解のバックボーンは、文からイメージを描き、イメージを解析して、アクションに結び付くオントロジー記号を得ることである、・・・・・と言えるのではないでしょうか。




おわり