考察:「思考空間6」

by 小山明雄



 前回、思考空間はゲームフレームワークと同じではないかとしました。今回はもう少しそれを具体的イメージにしていきたいと思います。



 ファイナルファンタジーとかの3次元ゲームですね、このゲームを動かす人工知能が自分の表示している画面を見て、画面を解析し、人間の次の手を推論したり、人間を驚かそうとしてイベントを発生させたりしていく・・・そんなことを考えていくとその先にあるのが思考空間になるのではないかなということです。連想機能とか知識ベース機構とか、身体制御の技術ももう研究は随分と進んでいます。もう、インプリメントしていくだけでかなりの「思考」する人工知能ができるのではないかと感じるわけです。


【追記】ある方角から見たポットの写真を提示されたとき、人工知能が候補のイメージオブジェクトを記憶から取り出し、次々と視点を変えた画像を画面に表示していきます。そうして、マッチングしたらこのオブジェクトであると答えるというような動きでもあります。画面はシミュレーションを起こすフィールドになります。そんなのが、「思考」ではないかと。



 推論とはなにか。これは共起関係のパタンマッチング技術と考えられます。時系列をつくる共起がプランニングで、空間配置関係の共起がリーズニングということではないでしょうか。


 思考空間の構成要素はイメージオブジェクト群です。推論をするには、これをオンデマンドで解析して記号にしてからパターンマッチングさせていくこと、連想していくことで、実現していくことになるでしょう。それは、オントロジーは記号で扱うのが素直だからです。イメージのままでは演算は難しい。知識の中に記号で表現したものがあれば、それをそのまま使い、なければ、連想するイメージオブジェクトを解析して記号オントロジーセットに落として推論していきます。



 世の中には色々な考え方をする人々があって、日々生活しています。ある視点に立つ人は、別の視点に立つ人の考えが理解できない。理解できないで怒ったりします。そんなことは、人工知能を研究していく人には当たり前のことに感じられるでしょう。どんなリーズニング構造を重要とするかは人工知能の設定の問題です。チューニング次第で、いろいろな視点をもつ人工知能になるのです。思考空間にどんなパラメータを設定していくか・・・ここが重要な問題になるでしょう。



 これで、思考空間のイメージ作りは成ったでしょうか。





おわり