考察:「多重処理2」

by ご近所のきよきよ


 
 「考察:多重処理」では自然言語解析(日本語解析)では様々な解析処理を多重平行にして処理するのが自然で、柔軟なプログラム構造であり、曖昧性処理には必須の技術であると述べました。今回は解析処理のぐるわを記していきたく思います。
 
 どんな解析処理にも、得ようとするターゲットの情報があるはずです。とくに自然言語の場合、会話とか文章とかの全ての文とか単語列から、ある状況を把握することでしょう。その状況とは大抵の場合、会話内容とか文章内容とかから推量で同定することになります。全ての情報が会話文や文章に記述してはないのです。聞き手とか読み手が何らかの体験を通して得た状況、・・・フレームといっていいでしょう・・・、を推測し、そこにあるスロットに会話文とか文章から得られた断片的情報を埋め込んでいき、最終的に聞き手や読み手が的確な操作ができるように持って行く事、行ける事、これが自然言語処理における解析処理でしょう。
 という事であるならば、フレームが単語辞書と同じくらいに重要な位置を占める情報基盤ということになります。フレームには、次の情報が有るはずです。
(1)アクターのプロフィル(属性)
(2)アクター毎の行動(アクターの視点からの行動と行動の属性、行動の内包する関係)
(3)アクターの集合
(4)時間、場所の推移
 
 フレームは単に自然言語を解析するためのものではなくて、ここから聞き手が行動すべきアクションも記されているはずです。だからフレームは情報処理系の基盤となるデータベースであると言えます。全てはフレームをピボットにして処理(解析、行動)が実施されていくのですから。

 しかも、プログラミングでなくてフレームとして解析、行動を制御しているシステムですと、柔軟に行動を変更出来ます。自律学習機能を実現出来るという事です。手続き的でない宣言型のフレーム内容定義ができれば、学習システムは比較的簡単に構築できるというものです。また、フレーム内の記号は、実稼働システムの環境を反映させて自律的に書き換えていく事もXMLとかオントロジーのベースがあれば比較的簡単です。とするならば、フレームとは自然言語処理を越えた、情報処理システムの根幹となるデータベースシステムであるとも言えるわけです。単に、自然言語処理の為だけでなくて、IT基盤としてフレームを整備していくべしということになるのではないでしょうか。
 
 
 IT基盤として次のスキーマを考える所以です。

 
 
 多重処理部(文章解析システム、アクションオブジェクト群)は、その上位の思考システムから学習済みデータを受け取ることになります。思考システムは、文章解析結果などのオブジェクトを操作しますが、その操作は試行錯誤の結果、ある手順として定式化されるものです。そのルールを文章解析やその他のアクションに利用出来るように成っている事が自律学習という観点からは必要です。
 

 
 

おわり