考察:「多重パターン定義と統合処理」

by ご近所のきよきよ


 
 「味がする」というのを英語で考えると「taste」という一つの動詞で表現される事柄です。でも、日本語はそういう概念とは別に文法システムが働いて、「きな臭い味がする」という風に名詞を修飾する語が「味」に付いてきて、「味がする」を一つの動詞で表すと、その辺のつじつまを合わすように処理が必要になってきます。
 これは簡単な例ですが、形容動詞とかの感情を表現する単語は名詞なのか、形容詞なのか、副詞なのかと迷うことが多いようです。連結語も多くて表現が豊かですので、処理としては多数のパターンを辞書に持って処理して行かなくてはなりません。特に多義語が絡むとこのことの重要さが増します。
 「見る」は「see」の他に、「try」(試す)とかの意味があります。「分かる」という意味もあります。「する」も用法が多様です。こうしたものを辞書に登録していきますと、多数のパターンのアクセスキーとして一つの単語が定義され、利用されていく事になります。1つの単語に関して複数の解析パスが生じるのです。こうしたものを統合的に処理していって、もっとも納得のいく結果を選択して、出力していく処理が求められるわけです。
 辞書によるパターンマッチングとか、部分部分の処理は独立平行で、多重に解析結果を得て、それを評価システムで、文法の整合性とか意味が納得いくかということでフィルターしていくことになります。意味の正しさはコーパスとかから抽象的なフレームを作って、文脈を考慮した評価ができるようにすべきものです。

 解析結果としてフレーム構造に意味を記号で表現するのですが、それの項としては次のようになるでしょう。
(1)アクターのプロフィル
(2)アクターの配置
(3)アクターのアクション(行動種と格と属性)
(4)アクター間の関係(グループのプロフィル)
(5)グループのアクション(行動種と格と属性)
(6)アクションのプロフィル(モードとかフィールとか付加情報)
 基本的に動詞構文の塊を関係づけてフレームに配置していくことが意味理解だと思うわけです。これができる過程に、沢山の選択パターン、解析結果が生成されるのだと思います。
 
 構文としては、
(1)プロフィル型表現(「〜の理由は〜だ」型)
(2)存在型表現(「〜には〜という理由がある」型)
(3)標準型(「〜だから〜した」)
という3タイプがあるようです。意味理解結果フレームとしてはなにがあるか、以上の事を考慮して考えていきたいと思います。
 
 
 

おわり