随筆:「Web2.0なる基幹IT」

by ご近所のきよきよ


 
 インターネットを便利に使っていると、知らず知らずにうちの自分の行動パターンや嗜好がインターネット運用者に分析されてしまいます。恐ろしいことですが、それはこれからの社会を暗示しているようです。ITの目指す方向なのであろうか。それと、多くの人の知識とか技能を集めて大きな辞典ができ、P2Pで助け合いができます。これもITの目指す方向なのであろう。こうゆうWeb2.0なるものを基幹業務へも展開するにはどんな技術が必要なのでしょうか。
 私は退職してもう4年になりますからもう、状況は変わってきているかもしれませんが、当時は、まず計算機システムがあってそれに人間が適応していくというのが普通でした。すなわち、データベースシステムとインターネットシステムでの顧客注文があるとすれば、注文票をインターネットで受けたとして、それを集計するのはデータベースに入れてからということで、手作業でデータベース入力していました。また、伝票が印刷したものしかなくて、集計は手作業で伝票を数えてやっていました。伝票を作るのは計算機システムになっているのにである。上司(大抵は実作業をしない幹部社員)の思いつきで、どうしても今直ぐデータが欲しいということで。ある時は、行程を見て直ぐに比較できるように表計算ソフトにデータを打ち込めというのがありました。これ人手によるきつい作業なのです。しかも、創造性のかけらもない。
 ということで、計算機が普及してくると実作業をしない人は過大な期待を持つようになって、下々は大変な肉体労働をすることになるということです。計算機システムは融通が利かない。今のITは小回りがきかない重厚長大な代物なのです。が、それに気づかない(気づいていても自分がやるのでないからと力仕事を押しつける)幹部社員は多くて、ここであげた悲劇はどこにでも発生しているのではないでしょうか。
 
 しかしながら、みんな計算機システムの重厚長大さに困っていると言うことであれば、ビジネスチャンスはまさにここにあるということです。ちょっと手を休めて、計算機システムを軽薄短小な顔つきにさせることを考えていく、そんなゆとりを作ることに価値があるということです。ヒントはWeb2.0。まさにインターネットはWeb2.0革命的に展開しているのです。
 もっとも近未来な技術は作業データをXMLを基盤とする半構造データで作ることを社内規格とすること。さいわいWordとかExcelはXMLベースの技術も実現しているということです。ここに清書では表示されない属性タグみたいなものがあって、文書に情報を付加できるようになっていればなお良いですね。なんでもかでも規格にしてしまうことで、RDBにWord文書の内容を反映できるでしょうし。その逆もできます。インターネットに直ぐに反映できます。レガシーシステムも構造明確に持っていればアダプターパターンをかませれば仲間にできます。
 ここで必要となる技術は簡単な対応表を作れば相互変換してくれるオブジェクトを定義し作り込むことです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ただこれだと、半構造化した文書しか扱えない。そんなものは人工知能の助けを借りるわけで、自然言語処理とかパターン認識技術の進展が待たれます。それは次世代検索エンジンの研究と一緒な課題ですので、次世代検索エンジンの研究の価値がさらに大きくなるというものです。というか、自然言語とかイメージデータとかを半構造化して行く方式という、研究の道を広げるものでもあります。近未来の半構造化データ処理に結びつけていくことは既存の資産を活かす道でもありますから。
 
 XML文書のようにタグでデータに意味づけしたとしても、やはり大きな文の固まりごとには追加の知識が必要です。データベース化してデータマイニング、データウェアハウスを使うとして、データのパターンを発見したら、それに意味づけをするのは人手でしょう。でもなんども出てくるパターンをいちいち人手で意味づけしたら、Web2.0ライクでなくなります。パターンが情報の固まりの枠を決めるということはよくあることです。パターンに意味づけするという、知識ベースシステムが必要でしょう。それは変換スクリプトを大々的に重要事項としていくことから救われます。知識というものを工学していくのです。
 このことはプログラムのソースリーディングを助けるシステムみたいな応用の道が開けれるということを意味するのではないか。オープンソースがはやってきて、ソースを読みたくなります。でも、文書がないとしたら。コメントだけが頼りだったら。汎用的なパターンを用いて、未知のソースをある程度解読できるのではないか。大体、クラス図とかシーケンス図などはソースを機械的に解析すればできるはず。ただ、その意味が分からない。たとえば、JDBCを使っていれば永続化パターンだなと分かるけれど、リカーシブルコールを検出して、何を根拠にリカーシブルコールをしているのかが分からない。そういうものはソースコードとは別の知識なわけ。コメントとは別に、こういうパターンで意味づけすることができるシステムが必要になるように考えるこの頃です。で、大事なことは知識をポータブルにして、システムがスクラッチアンドビルドしても、手作業で作った知識は生きるように規格をしっかり作ることです。オントロジーとか、いろいろあるでしょう。オントロジーにパターンを記述するのは今できませんね(できるのかしらん)。なんか工夫が欲しいです。知識は大勢の地道な活動の集約として蓄積されていくからです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 今回の随筆は喫緊な要請を書いてみました。ここに書いたことが実現されないと、いつまでも悲劇が続くのですから。
 

おわり




 
 参考文献:「ものコトづくり」製造業のイノベーション
(東正則監修    日経BP社)