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今日の格言

 人生とはリレーです。その時、その時の走者が懸命にその人生を駆け抜け、次の走者にバトンを渡してその役割を終えます。多くはそのレースの途中で二人三脚の相手を見つけ、我が子という未来の走者に希望という名のバトンを手渡します。こうして、我々人類はその歴史を二百万年以上も繋ぎつづけたわけです。言うなれば人間が自分の生きた証を後世に残したいと願うのは本能なのであります。

 さて、話は私事になりますが、私には彼女と呼べる存在がおりません。弟が楽しげに彼女とメールなんぞをプチプチと打っているのを横目にエロサイトでマウスをカチカチ、街行く幸せそうなカップルを眺めては「バルス!」と呟く毎日です。秋には、夕日に光るつがいのトンボを眺めながら嗚咽して鼻水を垂らす体たらくであります。

 このことからも私が遠い未来に孤独死を迎えることは想像に難くありません。

 そんなそこはかとない人生を送る私のような人間には「格言を後の世に残すべし」と先人達はよく言ったものです。自分の子供が望めない場合には、多くの兄弟達に生きるための知恵を与えなさい――と。

 本日は大塚愛の『さくらんぼ』を聴きながら、私のこれまで人生から生まれた格言をここに書き並べていきたいと思っております。



格言

格言1 「友人に見慣れない店へと食事に誘われたら、それはデートの下見であると考えよ」

*注釈 一組のカップルの後ろには、無数の踏み台となった友人達が存在しているということを示した格言。

格言2 「“つき合っている人いるの?”の質問に“今はいない”と答える人は見栄っ張り」

*注釈 見栄っ張りな人間はいつも余計なものをつけたがるということ。

格言3 「酒の席で、可愛い子がおしぼりを使って濡れたテーブルを拭いていると“しっかりした子だなぁ”と思うが、ブスがそれをやると“狙ってんじゃねーよ!!”と腹立たしくなる」

*注釈 人生とは理不尽であるということ。

格言4 「“あたしって男運悪いんだぁ”という女は、大抵運以外にも悪いところがある」

*注釈 何事も運任せは良くないということ。

格言5 「不細工な男が助手席に美人を乗せて運転していると、きっとあの車に憑いている自縛霊なのだろう、ということで自分を納得させようとしてしまう」

*注釈 人は自分が理解できない出来事に遭遇した場合、とかく事実を捻じ曲げてしまう傾向にある。

格言6 「合コンでブスが可愛い子を連れてきた場合、十中八九彼氏持ち」

*注釈 誰だって自分に有利な立場で戦いに臨もうとすること。

格言7 「独り身が長いと、女の子から“仮面マスクもエロ本とか見ちゃうの?”などと訊かれても“み、見てないよ!”と狼狽することなく、“あのね、女は必要なくなった卵を月のもので外に出せるけどさ、男は溜まっていく種を夢精か自分でやって捨てるしかない訳よ。だからね、男にとってのエロ本は女にとっての生理用品なの!”と熱弁してしまう」

*注釈 長いこと独りでいると、もはや女の子に対する体裁をとりつくろうよりもエロ本の方が大切になってしまうということ。

 以上、今日の格言。大塚愛の『さくらんぼ』を聞きながら、曇天の空の下。仮面マスクがお送り致しました。


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