〜オマージュ作品を作ってみよう〜
諺、小説、短歌に俳句。昔から人はこれらの作品に自分の想いや経験を込めて来ました。作品はその人を映した鏡であり、その時代を映した記録でもあります。その時、その時の空気をこれら多くの作品群は我々に語りかけてきてくれます。
そして、その中には時代を超え、今尚、色あせることなく輝きつづける作品があります。
今回はそんな先人達が残した言葉や作品を、私が現代なりの解釈をして勝手に改変してここに挙げていこう。そんなことを黒豆せんべい食いながら思っております。
■大は小を兼ねる
大のできる便器はたいてい小便もできるということ。
「大は小を兼ねる」より
■おケツに入らずんばオジを得ず
男色のオジさんと付き合いたければ道はひとつ。わかるね。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」より
■手に取れば 警報鳴る鳴る CDショップ
万引きする気はさらさらないのに、CDについた警報装置の誤作動により思いがけず注目を集めてしまった俳人の叫び。
正岡子規の句「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」より
■『マツタケくらべ』
温泉やトイレなど、事あるごとにつまらぬ意地を張ってしまう男の性を描いた作品。新五千円札採用、おめでとうございます。
樋口一葉『たけくらべ』より
■『風の歌を聴け』
WINDの追っかけを描いた作品。WINDの歌を聴きやがれ!
村上春樹「風の歌を聴け」より
■『走れエロス』
初めてエロ本を購入した男の物語。知人には知られたくないというピュアな心と、それでもエロ本を見たいという男の性を描いた作品。以下に本文から抜粋した一部を掲載。
私は、よくよくエロな男だ。もしこのエロ本が見つかったら、私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。走れ! エロス。目的のエロ本を購入したら、知人に見つからぬよう、家まで走るのだ。
エロスは、えい、えいと大声上げて自身を叱りながら走った
〜(中略)〜
暴君ディオニスは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。
「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、羞恥心に勝ったのだ。エロ本とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしにもそのエロ本を見せてはくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」
どっと群衆の間に、歓声が起った。
「万歳、エロ本万歳。」
本屋の店員が、緋のマントをエロスに捧げた。エロスは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「エロス、君は、エロ本を包装してもらってないじゃないか。早くそのマントを被せるがいい。この可愛い娘さんは、エロスのエロ本を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
勇者は、ひどく赤面した。
太宰治「走れメロス」より
いかがだったでしょうか、私なりのオマージュ作品。
いやー。黒豆せんべいって、本当に美味しいものですね。それではまた次回、気が向いたときにお会いしましょう!
水野晴郎「金曜ロードショウ」のお別れの挨拶より