KORG M1 Music Workstation |
Synthesis Method |
AI(=Advanced Integrated) Synthesis |
Voices |
16 Voices (single mode) or 8 Voice (dual mode) |
Multi mode |
8 Part(max) |
Sounds |
100 'Programs 100'combinations |
Keyboard |
61 Synth-action keys with Initialtouch and aftertouch sensitive. |
Controllers |
Volume, Joystick (Pitch Bend & Modulation), Data entry slider, Sustain pedal, 2 assignable Pedal/Footswitch inputs |
Outputs |
4Outouts(L/R/3/4/), Phones. |
Interfaces |
MIDI In/Out/Thru |
Expansion |
One slot (for PCM data card). |
Effects |
2-Channel Multi-Digital Effects |
Comments |
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ワークステーションシンセの始祖、サンプルフレイバックタイプシンセを流行させた功罪者、M1です。 What's Ai? KORG M1で採用されているai(アドバンスト・インテグレーテッド)音源とは、音作りの統合環境を持った音色合成方式を意味しています。要するに、波形からエフェクトまでを、一括して管理する音源ということです。 Ai音源は、元波形にPCM波形を使っているのですが、このPCM波形のクオリティが、当時としては大変高いものでした。PCM波形は、当時のサンプラーで言えば、最上級機種クラスの、16ビットでデータ化されており、しかも、4Mバイトという、これまた当時としては大量のデータ量を誇っていたのです。 そして、そのPCMデータはマルチサンプリングされており、PCM波形を選択するだけで、音域による周波数成分の違いが表現されてしまうので、キースケーリングによる音色の調整が必要なかったのです。 そのため、合成では表現できない微妙な音色変化が、M1では表現可能で、D-50では到底出ないリアルなピアノ音が、すっかり気に入ってしまいました。 さらにM1の場合、PCM波形は「分離波形」と呼ばれる、音程を持つ周期成分(ピアノで言えば、ディケィ_リリースの、弦が振動して消えていくまでの音)と、音程を持たない非周期成分(ピアノで言えばアタックの打弦音)とを分離・抽出してデータ化されていたのです。そして、これらの波形はフィルタリングやエンベロープも思いのままでした。(唯一の不満は、レゾナンスがないことか)M1は、周期成分と非周期成分を合成するという音源波形構成の段階が、サウンドシンセシスの要であったわけです。 そうなると、元波形のキャラクターで、サウンド作りもかなり制約を受けてしまうのですが、M1は、メーカーから供給されるサウンドカードで、PCM波形や、そのPCM波形の特徴を生かした音色が追加可能でした。内蔵エフェクターもクオリティが高く、外部エフェクターに手が出ない貧乏学生には有り難いものでした。 当時はM1プラスQX3に、D-50またはDW-8000というセッテイングで、ライヴを行っておりましたが、M1には、シーケンス音源として、同時発音数目一杯状態で頑張ってもらったものです。後発のシンセには、機能面で劣りますが、ピアノサウンドなど、捨てがたいものがあります。 とはいえ、音作りに関しては、やはりPCM波形選択がミソという部分が大きく、後に主流になる「ユーザーの皆さまはメーカーが必死で作った音色選択に命を懸けてください」的なプリセットサンプラータイプシンセを流行らせてしまった功罪は大きいですね・・・・ M1サウンドが堪能できる曲といえば……アニメ「キテレツ大百科」テーマソング「はじめてのチュウ」でしょう。この曲をバンドでコピーしたとき、「これは一曲まるまるM1だけで演奏してるに違いない」と確信したもんです。他には、ジャパンの再結成バンド「レイン・トゥリー・クロウ」でDavid Sylvianが弾いていたシンセはすべてM1です。
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