D51型蒸気機関車
信越線開業120周年記念 2008年11月22日
信越線開業120周年を記念して22日から24日までD51型蒸気機関車が長野黒姫間で運行されました。本運転に先立ち16日から試運転がおこなわれ、多くのSLマニアで賑わいました。
それにしても蒸気機関車はすばらしい。通過10分以上前から汽笛の音が聞こえてきて、D51-498号機は黒煙を噴き上げ、力強いドラフト音を響かせて近づいてきます。その勇姿は言葉では言い表せないほど美しく、すばらしく、見ている人を圧倒します。新幹線や電車にはあの魅力はありません。ただの機械でありながら命が宿っているのです。蒸気機関車の走る姿を見ると、どうしても擬人化して見てしまうのです。急な上り坂では喘ぎながら、平野では軽快なドラフト音を響かせ駆けぬけていきます。その姿はまさしく生き物です。
私は駅の近くで生まれ育ちました。小さい時はよく祖父に連れられ蒸気機関車を見に行きました。黒姫駅 (旧柏原駅)には転車台があり長野や直江津から重連で登ってきた機関車の内、一両がここで切り離され方向転換し戻っていきました。その様子を見ていたため蒸気機関車には人一倍強い思い入れがあります。この区間が電化されたのは昭和41年。その後何度か夏のあいただけD51が運転されたことがあり、駅の引込み線に停車している際、機関室に入らせていただいたこともあります。蒸気機関車の雄姿を見ていると、忘れかけていた幼い頃の思い出が蘇えってきます。
今回は運転のたびに撮影に出かけました。そして最終日、撮影後に黒姫駅に向かいました。D51‐498機は15時18分、長い汽笛を響かせ、黒姫駅を出発していきました。その後も幾度となく、信濃路への別れを告げる汽笛を鳴らしていました。その汽笛を聞いていると胸の奥に熱いものが流れてきます。幼い頃、日々の生活の中であたりまえに聞いていた汽笛の音です。またここでD51の勇姿を見ることが出来れば、これほど嬉しいことはないのですが、多分これが最後になるでしょう。
D51-498号機には、これからもどこかで、そのすばらしい姿を多くの人に見せてほしいと思います。
2008年11月22日 午前9時55分 信越本線古間-黒姫間
ペンタックス K2DMD 85mm F8 1/500秒
フジ プロビア ISO400
11月16、17、19、20日試運転、22、23、24日営業運転。
午前と午後の一日2回運転しましたが、20日は午前の列車が運休しました。