北信濃の カノープス
遠くの山並みのすぐ上に見えるのが カノープス
2000年12月8日 00:37〜02:13
ペンタックスK2DMD 85oF2→F4
コダクローム64
撮影地 長野県信濃町
野尻湖周遊道路から撮影
2003年2月18日20:32〜39
ペンタックスK2DMD 85〜210mmF3.5
210mm.F3.5で使用
ISO400 カラーネガフィルム
撮影地 長野県信濃町
低空のため赤みを帯びています
カノープスは、りゅうこつ座にある全天で2番目に明るい恒星(-0.72等)です。オリオン座とシリウスのほぼ真下にあり、南中高度が低く、私の住んでいる北信濃では高度1度以下ですが、大気の浮き上がり効果で、地平線上にわずかに姿を見せます。南の地平線に山などが無く、低空まで雲一つ無く晴れているときにしか見ることができません。
中国では、カノープスを南極老人星とよび、この星を観ることができた人は、幸せに長生きができると言われる縁起の良い星です。
このカノープスを、北信濃でぜひ見てみたいと思い立ったのは、1986〜1987年頃になります。10月中旬から12月の雪が積もる前の深夜、双眼鏡を手に車で見えそうな場所を探しまわりました。見えそうな場所があっても、木がじゃまをしたり、明るい灯火があったりし、見ることができずに、2年ほど探しました。この時期は夜間冷え込みますし、機材もありますので、見える場所まで、車で行けることが条件です。
そして、やっとカノープスが見える場所を見つけました。そこは野尻湖周遊道路の一角で、北緯36゜48´ 標高約720m、初めて双眼鏡で確認したときは、ただただ興奮し、双眼鏡の中に見える、赤みを帯びたカノープスに感激しました。肉眼では見ることができませんでしたが双眼鏡の中に弱弱しく見えます。このときはカメラを持っていませんでしたので、写真に撮ることはできませんでした。(できれば、この場所でいつかは写真に撮りたいと思っています。) (2003年2月18日野尻湖周遊道路から写真に撮影する事ができました)
ただ、この場所は決して条件は良くなく、この後2度ほど確認しましたが、双眼鏡では確認できても、肉眼で見ることはできませんでした。(その他、長野市から戸隠に行くバードラインでも、見ることができる場所があります。)
自分の目で見てみたい。写真もとりたい。それには、もっと環境の良い場所を探さなければなりません。
探し始めて3年目の秋、ふと目についたのは、山の中腹を走る林道でした。早速、昼間、下見に行きます。そこは北緯36゜49´、標高は1,000mほどあり、南方が開けていて、眼下に善光寺平が広がっています。環境としては申し分ありません。快晴の晩、カメラを手に胸をドキドキさせながら現場に行きます。眼下には善光寺平の街の灯りがゆれています。
空には冬の王者、オリオンが力強く輝いています。カメラを準備し、双眼鏡を手に、車の窓越しにカノープスが見えそうな遠くの山陰を注視します。すると赤みを帯びた光の点が山陰からふっと現れました。カノープスです。
肉眼でもはっきり確認できます。初めて自分の目で見たときには、胸にこみ上げてくるものがありました。これで私も長生きができるかも知れません。(本当だったらうれしいですが)車に乗ったまま、カノープスが見られるところとしては、北信濃で一番良い場所だと思います。すぐにカメラのシャッターを切ります。15分ほどの露出時間で数回に分けて撮影しました。現像したフイルムには、しっかりとカノープスが写っていました。それから、毎年撮影に行っています。
2002年2月作成