しし座流星群 11/2001

獅子座流星雨観望記

全天カメラ 

獅子座流星全天カメラ

2001年11月19日

獅子座流星群輻射点付近

獅子座流星

2001年11月19日
撮影地 佐久町 十国峠

獅子座流星雨観望記   2001年11月19日

2001年11月18日深夜から19日早朝にかけて、獅子座流星群が大出現すると英国のデビット・アッシャ博士が予測を発表していました。私も当日にむけてカメラやフイルムの用意など準備をしてきました。仲間の方たちも、ビデオカメラや撮影機材の準備をし18日夕刻を迎えました。

ここ数日、あまり天気はよくなく、今日も空は雲に覆われています。午後7時に、町公民館に当地の星を観る会の皆さんが集まり、今後の予定を相談します。天気は弱い冬型の気圧配置になっているため、ここでの観望は無理だろうということになり、1998年11月に行った佐久方面に行こうということになりました。早速天気を確認すると快晴という返事,すぐ用意をし、午後8時に高速道のICを出発し上信越道を南下、途中小雨も降るような天気でしたが、東部湯の丸ICを過ぎたころから星空が広がってきます。ただ南方低空に少し雲があり気になりましたが、佐久ICに到着。ICを出て佐久町方面に南下を続けます。空には星空が広がり、車を運転しながらつい空を観てしまいます。途中で食料などを買うためコンビ二により、店員さんに星の良く見える所はないか聞くといろいろ親切に教えてくれます。そこで教えていただいた方向に車を走らせますが、空が開けて星が良く見えるようなところにつきません。車を運転しながら星空に目をやると、すごい長経路の流星が流れていきます。

0時近くに十石峠に到着。少し周りに木があり、また展望台が空に突き出ています。東から南東方面の眼下には街の灯りが見え、撮影環境としては100点満点とはいきませんが、上空には満天の星空が広がり、オリオンがひときわ目につきます。早速、赤道儀、カメラの設置をし、極軸を合わせた0時30分過ぎに、北の空から雲が広がり、あっという間に全天を覆ってしまいました。それでも南方の低空は雲がないのか時たま流星が流れます。携帯電話を持っている人は、自宅の天気を聞こうと電話をかけますが圏外になってつながりません。
私はアマチュア無線機を車に積んでいましたので、晴れている所の局長さんに情報提供をお願いすると、上田は雲の切れ間に流星が見えるという返事。高崎、埼玉県の花園は快晴で流星がよく見えるという声が無線機から聞こえてきます。アッシャ博士の予測どおり流星は大出現にむけて増加しているようです。だがもう移動する時間はありません。ここで何とか晴れてほしい。だけどだめでも仕方が無い。希望と落胆が頭のなかを行き来します。

1時47分ごろ天頂付近が一瞬稲妻が光ったように見え全天が明るくなります。多分大きな火球が飛んだのでしょう。空を覆った雲は時に薄くなったり厚くなったり、また星が少し見えたりします。その薄くなった所や少し星が見えるところに流星が流れてきます。雲間を透して見える流星の数に、これはすごいことになっている、なんとか雲が取れてほしいと、ただ祈るだけです。その祈りが通じたのか、2時ごろから雲が薄くなり徐々に星が戻ってきます。
その星空に、次から次へ流星が流れていきます。一緒にいった会員の子供たちや母親の歓声が、流れるたびに響きます。早速撮影をはじめます。全天カメラ1台と一眼レフカメラ2台を7〜8分の露出時間でシャッターを切っていきます 。シャッターを開けている間に空を見上げれば、全天いたるところに流星が流れます。

2時半の極大には、1分間に約40個以上の流星が流れていたと思います。流星の数はさらに増えつづけています。子供たちが数を数えていきますが、流星の数が多く数えるのが間に合わないほどです。気温もー5℃以下まで下がっているようで、レンズにヒーターをつけてありますが、霜がついていないか確認します。
フィルム交換では、周りで撮影をしている仲間がいますので、ライトをつけることができないので交換に手間取り、その間にも、流星は次から次ぎへ流れていき、焦りも手伝ってなおさら手間取ってしまいます。流れる流星には火球も多く、中には痕を残すものもあります。
流星は3時20分ごろの次の極大に向けて数を増やしていきます。3時ごろから30分近くまでは、1分間に60個以上、1時間換算で4000個以上の流星が飛んだのではないかと思います。子供たちが数えた数では、2時50分からの10分間で709数えています。(数え漏れも多数あったようです。)

どこを見ても途切れることなく流星が流れます。まさに流星雨といえる、すばらしい光景が繰り広げられています。これからの人生で、たぶん二度と観ることは無いであろう流星雨を、しっかり目に焼き付けました。寒さが体に染みてきますがフィルムの巻き上げ、交換、その間に空を見上げ、ただただ感動し、時間の経つのも忘れてしまいます。

4時を過ぎても多くの流星が流れます。事前の予測ではピークの時間は短いということでしたが流星の減少はゆるやかなようです。東の空に薄明が始まっても流星は流れつづけています。一等星しか見えない空に火球が流れていきます。まわりを見回せば霜が降り枯草が白くなっていました。感動を引きづりながら機材の片付けをし、展望台でご来光に手を合わせ、この素晴らしい流星雨に巡り会えたことに、そして観ることができたことに感謝をしました。