焼岳・中の湯コースYakedake  (2,455m)
(第1回目は、中の湯温泉登山口から北峰頂上までをご案内します。)

安曇村

 
 コースタイム
    [上り] 中の湯温泉旅館〜2時間〜中の湯新道出合〜(1時間〜1時間30分)〜北峰頂上
    [下り]

北峰〜1時間〜焼岳小屋〜1時間30分〜治山道〜30分〜帝国ホテル前バス停


焼岳の噴火  


新道分岐から望む焼岳頂上

   焼岳は、最近では大正4年6月6日に噴火し、その時梓川が塞き止められて大正池ができている。また、昭和37年6月17日の噴火では、焼岳小屋が倒壊している。それ以来焼岳は登山規制されていたが、平成3年にこれが解除になっている。しかし、山頂付近では現在でも、あちらこちらから蒸気が勢い良く吹き上がり、今だに活発な状況を見せている。  
     
四つの登山コース  
   焼岳の主な登山口(一般の登山地図による登山口からのコースタイム)は、
 
      @ 中の湯コース(3時間〜3時間30分)
      A 上高地コース(3時間〜3時間30分)
      B 西穂山荘、割谷山コース(西穂山荘から3時間)
      C 中尾コース(4時間)
   があるが、この内、中の湯コースは中の湯温泉旅館脇と卜伝の湯上部からの二つがある。
   
登山口は温泉旅館の脇
   今回は温泉のご主人の勧めもあって、中の湯温泉旅館登山口から上がって上高地に下山することにした。登山口は建物のすぐ右脇にある。
   このコースは、中の湯温泉旅館のご主人の小林隆一さんらが中心となって苦労して整備したのだそうだ。旅館裏に回り込み樹林を抜けると安房峠に通じる道路の9号カーブの先端に出る。防護ネットの裏を通り、偽木の階段を上がっていくと再び道路に出るが、ここまで車で来ることも可能だ。道路を横切って右方向に進んでいくが、10号カーブからの道路が右下に見えている。しばらく行くと登山道は左方向に回りこんで、やがて右に折れる。この辺までは林道があったような感じの地形だ。
     
こんな所にブナの林が  
   右下がりの斜面をトラバース気味に進むと5m程の大きな岩と直径が80p程の倒木がある。その先をジグザグに僅か上がるとまわりに均等な間隔に残っているブナの大木が目立ってくる。えっ、こんな所にブナの林があるの?  
   脇の太いブナの幹を撫でるとスベスベして、暖かくて何ともいい気持ちだ。ブナ林に入るといつも周囲の空気が綺麗になったような気がするから不思議だ。  
   このコースでブナ林はここだけ。何か得をしたような気持ちになった。  
     
暗い樹林帯をひたすら進む  
   結構いい道じゃあないか。  
   登山者の多くは、上高地からの上がっているようだが、ここは穴場コースだ。道は若干湿り気があったり、ちょっと薄暗いが、太い倒木や日本庭園のような所もあり、まさに変化に富んだ森林コースだ。涼しくていい感じだ。ゴロゴロした大きな岩場を100m程上がり、小さなアップダウンを過ぎると、しばらくで地形が平坦になってくる。この辺は空が開け周囲が明るくなるほど風倒木が多い。地中が岩盤で根を張れないせいだろうか大木が根こそぎ倒れてしまっている。
 


焼岳頂上付近

     
    噴き出したガスが見える
       平坦になった直線で注意してみると樹間に焼岳の頂上と白い蒸気が見え隠れする。
       真っすぐに100m程進むと正面に焼岳が見える。白い蒸気の勢いがあまりに強烈に吹き出していて、噴火や火山性のガスが心配になってしまうほどだ。
     さて、この辺一帯は、ナナカマドやダケカンバ等の幼木が一面に生えていて緑が目に染みる。風で葉の裏側が白く光り、微妙に揺れ、見ていて飽きがこない。空気がきれいなので、緑も一層澄んで見えるのだろう。
       
V字に崩壊した下掘沢の右岸に沿って    
   この緑の中に新道出合がある。ここの標識には「中の湯新道出合、標高2000m」という標柱に中の湯温泉旅館、新中の湯2.6q、卜伝の湯釜トンネル旧中の湯2.8qの標示が付いている。登山口からここまで約2時間だ。    
   分岐から緑のトンネルをくぐると突然大きな崩れが目の前に広がる。左上から右下に大きくV字に崩壊しているが、ここが下掘沢。火山灰土が雨水で寝食され、えぐりとられてできた沢なのだ。ここ焼岳では、崩壊して押し出された土砂が、上高地や梓川に堆積している。    
   さて登山道はこの下掘沢の右岸の縁を上がっていく。そして、この辺がちょうど森林限界なので、顔を上げれば常に頂上が見える続けるのだ。    
 


噴出する火山ガス

     
    岩場でしばし立ち止まる
       左側の斜面は、稜線まで笹の緑が続いている。火山岩のゴロゴロした登山道は下掘沢の崩壊の先端まで来る。ここからは草も少なくなり、それこそ石ころだらけだ。稜線の鞍部に標識が見えるようになると頂上は近い。
     「中の湯・上高地」という標識まで来ると眼下の鉢の底にエメラルド色の火口湖が見える。
     南峰は溶岩が吹き上げたまま固まった感じの物凄い岩の形になっていて、今にも崩壊しそうだし、火口の鉢の回りは何ともマグマが急に冷えたという感じの岩場になっていて、ゾッとし、しばらく立ち止まってしまう。
       
火山性ガスさなければ    
見晴台付近にて
   登山禁止の南方を後に、右に大きく回り込むと左上部にここでは最大のガスの噴出口があって、白いガスが空中高く吹き上がっている。とても覗き込む気にはならない。    
   少し足早に丸印と矢印が書かれている壁のような大きな岩の下を右にトラバースしていくとすぐに小さなコルに出るが、ここで上高地からの登山道と合流する。さすがにここまで来ると登山者がどっと増える。頂上はここから左上に100mもない。途中やはりすぐ左から勢い良くガスが吹き出ているところがあるが、その噴き出し口には硫黄が真っ黄色に付着している。北峰頂上は2,399mで南方より約56m低い。    
   しかしここからの景色もすばらしい。笠ガ岳から穂高連峰が一望だ。ガスさえ噴出していなければ最高なのだ。

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