ミルククラウンを肉眼で見る

1998.8.  自宅 



ミルククラウン3
1.はじめに
 ミルククラウン現象とは、王冠状のものがミルク等、少し粘性のある液体において発生する現象を言います。 王冠は中心部からの吹き出しが不安定な液体の増幅で波の跳ねたものが穴の周囲に飛び散るため出来ます。
 牛乳の物理学的性質の中には粘度という項目があり、カゼインと脂肪による牛乳の粘度は水の2倍程度あるためです。
 ミルクだけに限らず液体において落下させる滴の「距離、大きさ、比重、表面張力、跳ね散る各条件」等の要件で発生するそうです。


波紋を残す
2.ミルククラウンを肉眼で
 瞬間写真では科学雑誌などにミルククラウンを掲載さ れていたのを見たことがありました。昨年度、科学技術館で開催された「青少年のための科学の祭典」で科学写真家の伊知地さんが、「ミルククラウンを見よう」とい う展示をされていました。
 そこで話を聞かせて頂くと意外と簡単にできそうではありませんか、早速挑戦してみようと準備を始めました。





崩れて飛沫をとばす
3.装置の概要
 ミルクが落ちる瞬間にストロボを発光させます。するとその瞬間が残像となって目に焼き付く訳です。
 ミルクが落下してくるのは赤外線センサーで感知させます。また、そのままでは赤外線センサーを通過した時にス トロボが発光してしまいますので、赤外線センサーとストロボの間に遅延装置を組み込み、ストロボへの信号を遅らせてミルクが落下して弾けたときに発光させます。
・赤外線センサー・・・潟Pンコー 赤外センサースイッチS型
・遅延装置・・・・・・・・潟Pンコー 赤外センサースイッチ用出力信号遅延装置

ミルククラウン2
4.開発への工夫
・赤外線センサーが感知しない
 今回使用した赤外線センサーは、動物写真の撮影に利用される物で直径が15mmほどもありました。
 このため小さなミルク滴を通過させても赤外線の透過率が下がらず、ストロボは発光しませんでした。
 そこでセンサーに2mm程度の穴をあけた黒画用紙を取り付け、赤外線量を絞ったところミルク滴を感知するようになりました。


成長するミルククラウン
・ストロボが発光しない
 当初は写真用ストロボで発光させていました。しかし、充電に時間がかかり肉眼で観察するには適当とは言えませんでした。
 そこで運動の記録などで利用される実験用ストロボを使うことにしました。単純に外部接点に接続したのですが当然作動しません。理由は遅延装置からは電流が流れるのに対し、ストロボは外部接点をショートしたときに発光するからです。リレー回路を使ったのでは10m秒という時間でタイミングをとっている装置ですから、動作が不安定になりそうです。 これに対してはアドバイスを受け、フォトインターラプタを使用することで解決しました。


落下するミルク滴
・滴下が不規則
 ミルク滴の落下には駒込ピペットを使用していましたが、滴下のタイミングが不規則になりやすく不便でした。
 ミルククラウンは同じインターバルで見られた方が心の準備もできるせいか見やすいようです。
 これについてもヒントを頂き、ローラークランプを使用して滴下するインターバルの微調節が可能となりました。



液面に衝突するミルク滴
・王冠にならない
 それでも、なかなかミルククラウンが見えませんでした。王冠と言うより出来そこないの花瓶みたいな形で、きれいに飛び散りません。落下の高さを高くしてみましたが、ミルククラウンの直径が大きくなるだけで、その形には変化はありませんでした。
 あきらめて片付けようと下にたまったミルクを駒込ピペットで取り除いていたところ偶然にミルククラウンができました。
 ミルククラウンは、容器の液体の深さにより、浅いと王冠状になり、深いとこけし状になるようです。


ミルククラウン1
・写真撮影について
 写真撮影は簡単です。一眼レフでシャッターをバルブにセットし、暗いところで撮ればよいだけ。我が家では辺りが暗くなる夜11時頃に撮影しました。シャッターを押して、ストロボが光った後でシャッターを閉じればよいだけの作業です。
 ここの写真は遅延タイマーを微調節して「落下するミルク滴」から「崩れて波紋となる」様子を撮ったものです。
 同じように見えるミルククラウンでも写真で比べてみると形状が微妙に異なることが分かります。