STAR SR-700A



  株式会社スター、昭和40年代まで多くのラジオ少年やアマチュア無線家を魅了した無線機メーカーでした。かく言う私自身初めて作った並三ラジオは同社のSR−1(初歩のラジオ'66 4月号 3R−1は間違い?)というキットでしたし、SWLで使用した受信機もSR−550、更に5球スーパーキットSR−100も組み立てたことがあるという因縁深い(?)会社でした。葉書を出してお願いしたら、無料で並三からプレート検波ラジオやインターホンへの改造資料を送って呉れた会社だったことも、当時中学生だった自分は一生忘れない事でしょう。<m(__)m> もし現在SR−1が見つかったら、懐かしさのあまり床の間に座布団を敷いて飾っておく事だろうと思います。(^_^;) そんな私が地元のハムショップのHPでSR−700Aを見つけたのです。同一ページには同価くらいのCOLLINS 75S3もあったのですが、これはもう希少価値と因縁度から言ってSR−700Aに決まりです。さっそくオーダーの電話を掛けてしまったのは言うまでもありません。






 SR−700A スター最後の最高級アマチュア無線用通信型受信機 発売1965年11月 価格 6万6000円 80m〜10m 第2局発可変トリプルスーパーヘテロダイン受信機




同社カタログ、取説より TNX JH1AGA OM


回路構成

端的に言えばプリセレクタコンバータ+3.4〜4MCダブルコンバージョン受信機です。

・1stMixer 80m時はRFampとなる。他Bandでは3.4〜4MCに変換される。
・2ndMixer VFO出力とで1650KC IFが出力される。
・VFO 高安定バッカー回路 5050〜5650kc 周波数直線型VC使用 回路は企業秘密?
・3rdMixer&OSC 55KC IFに変換 USB LSB切り替え。
・BPF 結合度で0.5〜4KCの帯域を確保 MFが高価だった時代でした。
・Tノッチフィルタ ブリッジTフィルタで構成。
・リミッタ オーディオクリッパタイプ VRで調整可。

発売年から見ると確かにすばらしい受信機だと思います。でもプロが作ったにもかかわらず、アマチュアライクな判りやすい感じがするのは私だけでしょうか?なお6EA8が多用されていますがスターはこの球がお気に入りだったらしく、SR-550にも1本使われていたのを記憶しております。

SW On おぉ!

 シャックのR-9000の上に設置して目視点検です。外観上目立った傷などはありません。まぁ全体の程度で言えば中の下くらいでしょう。嫌煙者のHamショップ社長の言葉通り、パネルはタバコのタールで若干斑になっています。喫煙者の自分が言うのもなんですが、これはあまり頂けません。どうせ付着させるなら均一なセピア色にして貰いたいものです。(^_^;) でも確かにタールは落ちにくいですね。どなたかお薦めの洗浄剤などあったらお教え願いたいです。
 さて例によってヘッドホンを付けてSW On。ANTも件のLWです。ヒーターが温まり、ダイアルノブに手を触れてみます。感触はちょっと堅めです。でもまさに「おぉ!」ですね。30数年前のSWL時代にタイムスリップしたような不思議な感覚です。現用機に比べれば空電に弱く、CWをワッチすれば何となくチャタリング気味に聞こえてしまいますが、何かアマチュア無線の原点を感じさせる音と使い心地です。試しにキャリブレでゼロビートをとって暫く放置してみました。目立ったQRHは感じられません。信号に合わせて振れるSメーターも元気一杯、R-9000を凌駕しています。外観は少しくたびれていますが、1965年発売の受信機だとは信じられない性能です。考えてみるとSP−600や51S−1と同時代の製品であるわけですが、両者とは違った意味で日本の無線機メーカーの心意気とクラフトマンシップを表した受信機だったのではないかと思います。
 記憶に間違いが無ければ私がお会いした唯一のスターの関係者といえば、SWL時代に長野駅前の販売店に製品のキャンペーンでお見えになった(最近サイレントキーされたとお聞きしましたが)JA1CB 野村OMです。ビギナーに親切に説明されていた真摯な態度と温厚なお人柄を思い出すにつけても、スター現在有りせばと思わずにはおれません。合掌


6V6 P.P SuperRadio