シルビア通信1 >> エッセイ >> 問いかけで終わる文章

―― 問いかけで終わる文章 ――

 新聞のコラムでも、作家のエッセイでも、素人の書いた文章でも、ちょくちょく目にする文章の締め方というのがあって、「〜と思うのですが、これを読んでいる皆さんはどう思いますか?」というこちらに対する問いかけで終わるものがある。

 話の終わりにこういう一文を持ってくる作者の意図としては、「読み手に余韻を残したい」「読者にもこのトピックについて考えて欲しい」「読み手が結論を出すことによって文章が完結する」みたいな考えの下に、その一文で筆を置くんだろうと思う。

 大抵がそれらの締めで終わる文章を読んだって、これといって何とも思わないのだが、中には、

「あーダメだ。うまいこと文章がまとまんねぇ。とりあえず問いかけで終わっとくか。そうすりゃ、一応かっこはつくし……」

 という作者の考えがありありと読み取れる文章というのがあって、こういうのは読後感が非常に悪い。

 これはなぞなぞを出題して答えを言わないようなもので、作者から話題をふって、のべつ幕なしに書き立てて、オチはそっちでよろしくね――という最悪のパターンである。

 例を挙げると、

・上司や先輩から理不尽なことで叱られた。皆さんはこれをどう思いますか?
・人生って……生きるって辛いよねぇ。皆さんは人生についてどう思われますか?
・いつの間にやら部屋のあちらこちらにチン毛が散乱していました。皆さんはチン毛についてどう思われますか?

 といった感じである(ほんと、なぜチン毛はああも至る所に落ちているんだろ)。

 こういうのは個人の文章系のサイトにもけっこう多くて、「皆さんはどう思われますか?」という締めを読むたびに「そんなもん、知るか!」という心のツッコミを入れてしまうんである。

 ひとの文章にケチをつけられるほど立派な文章を書いている私ではないが、読む側の立場から考えるに、他人様を招待するための入り口(話題の導入)を作ったのならば、それに対する出口(結論)もピシッと作って欲しい思うのだが。

 ……皆さんはどう思われますか?

―2002年6月15日―
再掲―2008年5月29日―

←第58話第60話→

   目次      HOME