シルビア通信1 >> 小ネタ >> 星降る夜に願いを込めて |
お空にはキラキラ お星さま たっくんは自分のお部屋の窓からお空を見上げています ずーっと雲を見つめていると いつしかその雲は お母さんの顔のように見えてきました たっくんの目から 涙がこぼれ落ちました キラリ 夜空に流れ星 たっくんは そのお星さまにお願いをしました 「お星さま お願いです。天国にいるお母さんに会わせてください」 するとどうでしょう それはまるで お星さまがうなずいてくれたよう お星さまは どんどん どんどん 大きくなっていきます どんどん どんどん 大きくなって たっくのお家に直撃しました よかったね たっくん。 お空にはキラキラ お星さま 車いすに座って たっくんは自分のお部屋の窓からお空を見上げています ずーっと雲を見つめていると いつしかその雲は お母さんの顔のように見えてきました たっくんの目から 涙がこぼれ落ちました キラリ 夜空に流れ星 たっくんは そのお星さまにお願いをしました 「お星さま お願いです。天国にいるお母さんに会わせてください」 するとどうでしょう それはまるで お星さまがうなずいてくれたよう お星さまは どんどん どんどん 大きくなっていきます どんどん どんどん 大きくなって しかし お星さまはたっくのお家に直撃することなく 屋根のあたりでピタリと止まりました 「ごめんね たっくん。君のお願いは かなえてあげることはできないんだよ……」 「どうして?」 たっくんはまんまるいお目々でお星さまを見つめて尋ねました お星さまは答えました 「君のお母さんは地獄にいるんだ」 ある日のことです 子犬のむっくんは眠る前に歯みがきをしようと 洗面所の鏡の前にたっていました 夜、寝る前には必ず歯をみがくこと それがお母さんとむっくんの約束事です でもその夜のむっくんはなんだか歯をみがくことがとても面倒くさくなってしまいました
とその時です
むっくんは 初めとっても驚きましたが 「ごめんね、むっくん。さぞ驚いただろ?」 お婆さんが話しかけてきました
「うん、びっくりした。お婆さんは誰なの?」
お婆さんはにっこりと笑うと 首をこくりと縦にゆすりました 「鏡の世界はね、見ての通りそっちと姿形はまったく同じなのさ。でもね、いろんなことがあべこべにできているんだ」
むっくんはとてもゆかいに笑いました 「どうだい、こっちに来たくなっただろ?」
むっくんはお婆さんの手にひかれるままに 鏡の中へと吸い込まれていきました 鏡の世界。 そこは真っ暗で…… それだけの場所でした 「ここが鏡の世界なの? ぼくのお家もないし、お母さんもいない。それにとても寒くて、真っ暗で……。さっきのお話と ぜんぜん違うよ。お婆さん? お婆さん!?」 あたりを見渡しても いつの間にかお婆さんは消えていました すると とてもしわがれた恐ろしい声が 黒い空に響きわたったのです 「言ったろ? 鏡の世界はあべこべだって」 |
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