色彩変異

 シナイモツゴには、自然個体群の中でも、いくつかの色彩変異が知られています。
 先述のように、鱗の銀色光沢が少ない、あるいは殆どない透明鱗タイプや、長野市内のある溜め池では、体の一部分が朱色になる変異個体が見つかっています。
 私が繁殖させたものの中にも、以下のような色彩変異個体が出現しました。

 2013年と2015年に繁殖させたものの中には、金魚の「青体色」のように、おそらく赤色色素が欠如(もしくは著しく減少)していると思われる「青白い」体色の個体が出現しました。
 この青白い変異個体は、孵化後1ヶ月程度の段階で、明らかに正常な個体と区別できますが、成長が著しく悪く、孵化後1年以上経っても、全長40mm程度にしかなりません。

 
 写真17・青白い体色の個体(生後1年・♂)

 2015年に繁殖させたものの中には、赤色色素が増加しているか、または黒色色素が減少しているか、あるいはその両方が同時に起こっていると思われる「赤褐色」の個体が出現しました。
 これは、金魚の「茶体色」に相当する体色変異だろうと考えられます。
 この赤褐色の変異は、幼魚・未成魚のうちは正常な個体と区別がつきませんでしたが、孵化後1年以上経ってから徐々に赤味がかってきて、孵化後2年めの繁殖期(2017年春)が近付くにつれて顕著になりました。

 
 写真18・赤褐色の体色の個体(生後1年・♀)
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