ビル崩壊 重力の衝撃 地盤ゆがむ <1> |
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ハイジャックされた旅客機の突入により、アメリカの富と繁栄の象徴だった貿易センタービルが砂糖菓子が崩れる様にもろくも崩壊して行く衝撃
的な映像が世界に流れてから半年が経過した。
世界の大衆が見守る前で正面から顔に泥を浴びせられたかに見えた米国の権威と自信が急速に最近回復しつつある様に見える理由を知りたくてニ
ューヨークへ飛んだ。
テロの影響で米国の飛行機の荷物検査は厳重を極める。荷物の中身を映すカラー画面は詳細で縫い針やボタンまで表示、4センチほどのワインのコルク抜きは即座に捨てさせられた。またカメラや携帯電話は中に火薬などがないことを確認するために、操作して見せることが要求される。
貿易センタービルの跡地は、崩壊したコンクリートや鉄骨の除去作業が今も続いており、深さ数メートルの野球場の中を多 数の建設機械が走り回っている様な状況だった。
貿易センタービルがあんなにもろく崩壊したことも意外であったが、周辺のビル数棟が同時に崩壊したことも不思議であった。
今回、周辺を歩いて貿易センタービルの崩壊が想像以上の重力の衝撃をあの地に与えたことがよく分かった。実は周辺の高層ビルの地盤が歪んでいるのである。
周辺のビルでは至る所でめくれ上がった石畳やゆがんで隙間のできた階段などの修理が続いている。地震のない地として摩天楼がにょきにょきと立ち上がっていたニューヨークの地に、初めてビル崩落による巨大な地震が発生し、地が揺れ、地盤がゆがんだことが分かる。
大忙しのニューヨーク行きから見た米国の今を5回にわたり考えてみる。
(長野市民新聞 '02.04.18掲載)
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