IT革命 大きく違う電話事情        <3>

 ニューヨークの街に携帯電話を持つ人があまりいないことは、前回書いた。

 ところが、少数ではあるが、携帯電話を持つ人はいる。ただ、その電話機は大きく重そうで私が10年 前に使っていた機種とよく似ている。

 米西海岸にいる友人に電話しようとして公衆電話を取ったら、テープの声が「先に4ドル50セントを入れなさい」とわめく。今どき、4ドルもの硬貨を持ち歩いている人もいないが、滞在時点の円相場132円で換算しての初回通話料600円はいかにも高い。

 米国のIT(情報通信)革命とは何なのだろう。ホテルに帰り、部屋から電話しようとしたら、電話料とは別に利用料95セントをホテルに払え─と書いてある。どこでも手軽に携帯電話を安く掛けられる日本が天国に思える。

 米国のIT革命は国家戦略と結びついており、一般大衆へ便利さを提供するものでない気がした。

 モバイルと称する移動通信方式では、日本は既にアメリカを超えているのではないだろうか。すると、今の日本人の自信喪失は何なのであろう。

 頭が混乱したので、街に出てハンバーガーを食べることにした。ポテトフライと飲物付きセットが5ドル49セントという。

 数時間前に銀行で1万 円札をドルに替えたら手数料を差し引いて67ドルにしかならなかった。これで換算すると、セ ットの800円は日本より高い。日本の牛どんの280円や立ち食いそばの300円が懐かしい。

 そういえば、長い列を並んで入ったニューヨーク近代美術館の入館料12ドルもこの換算によると1800円 で高い。

 ニューヨークの物価は総じて日本より高い気がする。この件は次回に考えてみる。

              (長野市民新聞  '02.05.02掲載)

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