日本の経済 競争力いまだに健在      <5>

 ニューヨークでのレストランのサービスの悪さに立腹しながらホテルに帰り、テレビをつけると日本のアニメのオンパレードである。

 あるチャンネルでは料理の達人が腕を競う日本の番組を英語に吹き替えてやっている。驚いた。

 寝ようとして日本で買ってきたダブル表示のアジア製の腕時計を見ると止まっている。空港の携帯品チェックを通しているうちに壊れたらしい。日本製を買ってくるべきだったと後悔した。


フェリーから見上げた自由の女神像

 日本の不況は経済の問題よりも政治や行政の問題に思える。純粋に経済として考えれば、日本の物作りは品質への信頼感で圧倒的に優れている。

 サービスの水準の高さと、きめの細かさでも米国を凌駕(りょうが)していると思う。価格の面でも安い。通信産業の分野でも日本の方が便利で安い。アニメを中心にしたソフトも世界を席巻している。

 日本の不況は何なのであろう。

 日本の物価水準は高い。日本の株も土地も高すぎるとの大合唱でバブルをつぶしてみた。

 その結果、経済の各分野ではどう考えても競争力を持っているとは思えない米国経済が元気になり、逆に良い製品を作り、信用を大切にし、きめの細かいサービスを展開し、面白いソフトを開発、安くて便利な通信ネットを展開する日本の経済が、全く競争力を失ったように見えることとなってしまった。

 実は日本の経済は、いまだに十分な競争力を持っており、規制緩和や構造改革を断行できる強い政治があれば、日本経済の未来は明るいのではないかと思いながら、日本人を見下すような高圧的な態度の米国の出国管理と荷物検査を通り、成田に向かう飛行機に乗った。

                      (おわり)

(長野市民新聞  '02.05.16掲載)

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