コースタイム
大橋登山口(林道入口)発(5時40分)→大橋林道→登山道入口(6時20分)
→新道分岐着(6時45分)・新道分岐発(6時50分) →しらたま平着(8時20分)
・しらたま平発(8時25分)→黒姫山頂着(9時10分)・山頂発(10時45分)
→黒姫乗越(11時25分)→しらびそ平(11時35分)→火口原(七つ池)着(11時45分)
・火口原発(11時55分)→峰の大池(12時05分)→大ダルミ着(13時40分)
・大ダルミ発(13時45分)→新道分岐(14時05分)→大橋登山口(14時55分)着
ここで紹介したルートは距離も長く、歩行時間もかかります。
西登山道は一部荒れていますので健脚な方向きです。
一般的には、大橋登山口又は種池登山口から黒姫新道で頂上まで登り、
同じルートを下山するのが一番良いと思います。
また帰りに電車を利用する方は表登山道で黒姫駅に降りるか、小泉山道でスキー場に降り、
バスで黒姫駅に向かうコースも良いと思います。また逆のルートを歩いても良いと思います。
自宅から大橋登山口 | 自宅出発5時15分→大橋着5時35分 |
日の出まであと少し 大橋に向かう途中から撮影 |
昨日の天気予報では高気圧が張り出し、晴れとの予報。 4時50分に起き、窓から見た空は低く垂れこめた雲が一面に広がっています。ですがこの雲は低い雲で、山は晴れているだろうと、勝手に決め、5時15分に自宅を出発、戸隠街道を大橋に向かいます。一杯清水付近までくると雲の上に出ました。黒姫山の頂きが朝日に照らされていて、今日は登山日和になりそうです。 |
大橋登山口から新道分岐 | 大橋登山口(林道入口)発5時40分→登山道入口6時20分→新道分岐着6時45分 |
大橋登山口(大橋林道入り口) 林道途中から望む黒姫山 林道から登山道への入り口 |
大橋は信濃町と長野市(旧戸隠村)の堺に流れる鳥居川にかかる橋で、この橋の信濃町側が大橋林道の入り口になります。ここには車が10台ほど駐車できる広場があり、ここに車を駐車します。 ここから300mほど信濃町に入ったところに種池登山口がありますが、今回も大橋から登ります。 支度をして出発。林道入り口のゲートを過ぎ、砂利道の林道を歩きます。今年は紅葉が遅れているようで、漆は赤く色付いていますがミズナラやカラマツはこれからのようです。 朝日に照らされた黒姫山を見ながら35分少々 で登山道入り口に到着します。すぐに急な登りになりますが焦らずゆっくり登ります。途中幾度か細い林道を通過し、25分ほどで新道分岐に到着します。 |
新道分岐から、しらたま平 | 新道分岐発6時50分→しらたま平(ガレ場)着8時20分 |
新道分岐点(極楽浄土寺) ブナの森を登る しなの木の大木、ここで約半分 木々の間から望む高妻、乙妻 戸隠山(大きな画像で見られます) 尾根に出たところから望む小黒姫 |
新道分岐は十字路になっており、右に行くと古池、種池に下りる登山道です。真中の尾根道が黒姫新道で、今日はここを登ります。左の道は大ダルミを越へ、西登山道と笹ヶ峰に通じる小谷街道です。ここは古い地図で見ると、極楽浄土寺と呼ばれていたところです。古き時代、この付近に寺院があったのだと思います。 小休止後、新道を登ります。ブナの森は色づきもこれからのようです。道は緩やかな登りで、ブナの森の快適な歩きが楽しめます。 しばらく歩くと、平らな道からジグザグの続く登りになります。尾根まで半分程の所に、大きなしなの木が在り、ここで小休止。しなの木からしばらく行くと、林の中にコメヅガが見られるようになります。ここまで来ると、林が切れたところから、高妻、乙妻、戸隠、飯縄山が見れるようになります。最後のジグザグを上り詰め、外輪山の稜線に出ると、林の中から正面に、小黒姫が見えます。道は90°右に折れしばらく歩くと、見晴らしの良い、しらたま平(ガレ場)に到着です。 |
しらたま平から山頂 | しらたま平(ガレ場)発8時25分→山頂着9時10分 |
しらたま平(ガレ場) しらたま平から火打、焼、金山、 天狗原、雨飾山を望む 戸隠山と戸隠高原 遠くに見えるは北アルプスの峰々 雲海に浮かぶ飯縄山 (大きな画像で見られます) 善光寺平を覆う雲海 雲海を見ながら歩く稜線の登山道 稜線から望む山頂 山頂、火口原の分岐 左に下ると火口原 |
しらたま平は外輪山の一角で見晴らしが良く、すばらしい展望が楽しめます。ここで一休み。日陰には霜柱がありました。 北西方向には、火打、焼、金山、天狗原、雨飾山が見え、西には高妻、乙妻、戸隠山が、そのむこうに北アルプスの峰々を望むことが出来ます。南には飯縄山、その向こうに八ヶ岳、もやに霞んで富士山も見えています。その東には浅間山、菅平、横手山、苗場山へと峰々が連なっています。 眼下には善光寺平を覆う雲海が広がり、飯縄山が雲に浮かんでいます。ここからは快適な尾根歩きが楽しめます。まさしく雲上のスカイラインと呼ぶにふさわしい景色を堪能できました。 尾根道には霜にあたり茶色くなったリンドウがあります。9月中旬頃でしたら、すばらしい色を楽しむ事ができるでしょう。林の中にはドウダンツツジが真っ赤に染まっています。 右がわが急斜面になっているところを過ぎると、火口原へ降りる分岐にでます。左に下れば火口原です。ここには南登山道が合流していますが、今は整備されていないため荒れています。分岐から山頂までは10分少々。今までの快適な尾根歩きに比べるとキツイ登りになります。ハイマツが見えてくると山頂まであと少し。岩を乗り越えると黒姫山頂です。途中写真を撮影したり、腰をおろし景色を堪能したり、道草をしていたため少々時間がかかりました。 冬枯のリンドウ ハイマツ |
黒姫山山頂 | 黒姫山頂 9時10分→10時45分 |
黒姫山頂 山頂から望む火口内 小黒姫、峰の大池、火口原が見える。赤い紅葉はドウダンツツジ 峰の大池 (大きな画像で見られます) 山頂から望む妙高、火打、焼山 眼下には野尻湖が見える |
黒姫山山頂には黒姫弁財天の祠があります。まずは無事登頂できた事に感謝をしました。 山頂からの展望はすばらしく360°の大パノラマが広がっています。北に妙高山と火打山、そして高妻、乙妻、戸隠山と戸隠高原、そのむこうに北アルプス、目の前に、雲海に浮かぶ飯縄山、そのむこうに八ヶ岳、東に目をやれば浅間、志賀高原、苗場へと連なる山々、眼下には雲海が広がり、すはらしい光景を楽しむ事が出来ました。 山頂から北西方向には火口が広がり、中央には小黒姫山があり、外輪山と小黒姫の間には三日月型の火口原が広がっています。中に見える峰の大池はコバルトブルーに染まっていました。林の所々に真っ赤に燃えるドウダンツツジを楽しむ事ができました。 頂上には先客がおいでになりました。お話すると愛知県からみえた北田さんと言う方です。ホームページを開いているとのこと、お互いのURLを交換しました。北田さんに今後の予定をお聞きすると今来た新道を下山するとのこと。私は黒姫乗越からしらびそ平、七つ池の在る火口原、峰の大池、大ダルミを通り新道分岐に戻るとお話しました。特に火口原はすばらしく、黒姫に来たのなら火口原を見ないで帰るのはもったいないとお話すると、それではそちらのコースを下山すると、山頂を後にされました。 私はお湯を沸かしコーヒーで一服、景色を堪能しながら味噌汁をすすり、おむすびをパクツキました。山の上では何もかも美味しくいただけます。 暫らくすると下界を覆っていた雲が切れてきます。青く水を湛えた野尻湖が見えてきます。善光寺平を流れる千曲川も見えています。岩の上でうららかな陽を浴びていると、女性の方10人ほど、男の方4〜5人ほどのパーティーが上がってきました。東京から見えたとのこと。食事をされている皆さんに挨拶をして黒姫乗越にむけて山頂を後にしました。 |
山頂から火口原 | 山頂発10時45分→黒姫乗越11時25分→しらびそ平 11時35分→火口原(七つ池)着11時45分 |
表登山道の分岐 直進 乗越、 右 表登山道 乗越に下る尾根道 コメツガの原生林 しらびそ平 オオシラビソ、コメツガの原生林 しらびそ平 |
山頂から黒姫乗越までは外輪山の尾根道です。山頂からすぐにコメツガやダケカンバの林となり暫らく歩くと、表登山道との分岐に出ます。右に下れば表登山道です。さらに尾根道を下るとコメツガの原生林となり大きな岩やコメツガの根が歩きの邪魔をします。林の中にはドウダンツツジが真っ赤に色づいています。乗越まであと少しと言うところで先に下山をされ北田さんが上ってきました。話をお聞きすると、しらびそ平の中で大きな倒木のため登山道がわからないとのこと。ここから御一緒することにしました。 暫らく歩くと黒姫乗越です。乗越から越見尾根を下ると黒姫スキー場に降りる事が出来ます。この登山道が小泉山道です。 しらびそ平は左後方に道を進めます。ここのオオシラビソやコメツガはすばらしく、太さ70〜80cm、中には1mにも達し、高さも30mを超える針葉樹の原生林です。天を突き刺すようにまっすぐ伸びたその姿は美しく壮観です。タイガの中を歩いているような錯覚におちいります。林床にはオサバグサが青々とした葉で大群落を形成しています。 しらびそ平の中を暫らく行くと、大きな倒木に行く手をさえぎられました。今年の台風で倒れた大木です。よく見ると反対側に道はありません。北田さんはここで道にまよったと話されました。倒木の周りを探すと木の先端の先に道があります。気をつけていないと見逃してしまいます。登山道は倒木の幹の下に沿うように隠れているためわかりづらく、初めて訪れた人は戸惑うかもしれません。道は前日までの雨のため、ぬかるみが多く歩きづらく、ぬかるみに足をとられます。 しらびそ平の標識を過ぎ針葉樹の原生林を歩きます。オオシラビソやコメツガの独特な香りが鼻腔をくすぐります。森林浴には最適なところです。針葉樹の森が急に開けて一面笹に覆われた明るい草原に出ます。ここが七つ池の在る火口原です。 オサバグサ |
火口原(七つ池) | 火口原 11時45分 |
火口原(北側から撮影) 七つ池に写る小黒姫 (大きな画像で見られます) 火口原(南側から撮影) (大きな画像で見られます) |
薄暗い針葉樹の森と違い、一面ササに覆われた火口原はまぶしく、私がはじめて訪れたとき、山上にこのような世界が広がっている事に驚きました。この火口原の中央に七つ池があります。この池は黒姫様(黒姫伝説の中に出てくるお姫様)が女の七つ道具(化粧道具、鏡や櫛など)を投げ、落ちたところに池が出来たといわれています。池の周囲は20〜30cmの背丈の低い笹におおわれていて、普段は笹原に腰を下ろして休めるのですが、前日までの雨のため笹原の中まで湿地のようになっていて休む事は出来ませんでした。池には小黒姫が映り、周囲を取り囲む外輪山の火口壁には赤く染まったドウダンツツジが彩りを添えています。景色を楽しみながら笹原の中の道を峰の大池に向かいます。オオシラビソの林に入る手前で振り返りかえると、すばらしい火口原を見ることが出来ます。私は黒姫の中でここから見た風景が一番好きで、また何度見ても感動します。 深田久弥は奥様とご一緒に黒姫に登られています。そして火口原に降りついたとき、「降り着いた所は、そこに天女が遊んでいたにしても不思議でないような、静かな美しい別天地であった。(中略) うららかな空と陽とそよ風を楽しむのに刻を忘れた。」と述べています。(朝日新聞社刊 深田久弥 山の文学全集 「山頂の憩い 黒姫山」より) 数年前、秋の黒姫に登山をしたときに途中から御一緒した方がいます。一組は前日飯縄山に、もう一組は雨飾山に登られてきたそうです。雨飾は山頂の三角点の標石に触る人で列を作っていたそうです。今、百名山に選ばれた山は人であふれていると言っていました。そして、その方はこんな事をおっしゃいました。 「黒姫に来るまで、この山がこんなにすばらしい山だとは思わなかった。もし百名山に選ばれていたら、この美しい火口原はあっという間に傷たんでしまう。黒姫は本当に山の好きな人だけが来ればよい山だ。」そう言いながら火口原の美しさに感動したとおっしゃっていました。 |
火口原から大ダルミ | 火口原(七つ池)発11時55分→峰の大池着12時05分・大池発12時10分→大ダルミ着13時40分 |
峰の大池 ダケカンバの林を歩く 難所の天狗岩 笹ヶ峰、大ダルミの分岐 |
火口原からオオシラビソの林に入り60〜70mほど歩くと山頂への分岐にでます。左に登れば黒姫山頂、まっすぐ行くと峰の大池です。オオシラビソ、コメツガやダケカンバに囲まれ、湖面に小黒姫を映す峰の大池は本当に美しく、夢の世界にいるようです。 北田さんも火口原、峰の大池の美しさに感激しておりました。 峰の大池は、黒龍の怒りを、黒姫がみずからの命をもって静めるために、身を投げたといわれる池なのです。 その美しさに、しばし見とれた後、大池を後にします。 オオシラビソやコメツガ、ダケカンバの原生林を緩やかに登ります。大きな岩の間や滑りやすい岩の上を慎重に歩きます。登山道が下りにさしかかるころから、ダケカンバの林となり、所々滑りやすい岩の道を慎重に下ります。途中天狗岩と呼ばれる難所を通過します。大きさ3〜4mほどもある大きな岩が連なる難所で、もし滑り落ちたら大変な事になります。3点支持で慎重に進みます。天狗岩を通過すると歩きやすい道となり、急な下りを降りると道は90度左に折れ平らな快適な歩きとなります。ダケカンバの林を気持ちよく歩いていくと笹ヶ峰と大ダルミの分岐にでます。右に下れば笹ヶ峰、まっすぐ行くと大ダルミです。ここが本来の西登山道の起点になります。大橋から大ダルミ、西登山道分岐から笹ヶ峰に通じる道が小谷街道になります。ここから大ダルミまではほぼ平らな道が続きます。 峰の大池 |
大ダルミから大橋登山口 | 大ダルミ発13時45分→新道分岐14時05分→大橋登山口(林道入り口)14時55分着 |
大ダルミ湿原 (大きな画像で見られます) 大ダルミから新道分岐に向かう 登山道 登山道に残る敷石 |
大ダルミには高層湿原がありますが、入り口に標識はなく気をつけていないと素通りしてしまいます。湿原は一面の草紅葉となっていました。6月の中旬頃にはワタスゲが、そのあとヒオウギアヤメの花を楽しむ事ができます。大ダルミを過ぎ、小さな枯れた沢を渡ると、カラマツの中の快適な道となり、新道分岐に到着。ここからは朝歩いてきた道を歩きます。暫らく行くと登山道に岩がきれいに敷き詰められたところがあります。この道は善光寺から小谷温泉、焼山の麓の富士見峠を越えて越中富山を結ぶ街道の跡です。遥か昔、この道を多くの旅人が歩いたのでしょう。そして今私が同じ道を歩いています。昔の人は何を思いこの道を歩いたのでしょう。 道は細い林道にでます。幾度か横切り急傾斜を下ると登山道入り口です。ここからは砂利道の歩きです。30分少々で大橋登山口に到着。ここで北田さんとお別れです。無事ご自宅にお帰りになられることをお祈りしました。 今回は天気にも恵まれ、すばらしい雲海も見ることが出来ました。火口原もすばらしい光景を見せてくれました。ぜひまた訪れたいと思います。 ここで紹介したルートは距離も長く、歩行時間もかかります。西登山道は一部荒れていますので健脚な方向きです。 一般的には、大橋登山口又は種池登山口から黒姫新道で頂上まで登り、同じルートを下山するのが一番良いと思います。また帰りに電車を利用する方は表登山道で黒姫駅に降りるか、小泉山道でスキー場に降り、バスで黒姫駅に向かうコースも良いと思います。また逆のルートを歩いても良いと思います。 |