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―― アイスチューチューを熱く語ってみよう ――

 今回はアイスチューチューについて語ってみようと思う。正式名称は氷菓子なんちゃらと言うらしいが、各企業によって商標 が異なるので、ここでは私の住む地域でのとおり名『アイスチューチュー』と表記していきたい。


アイスチューチュー
↑本日の主役『アイスチューチュー』

 アイスチューチューといえば『麦茶』『そうめん』に続く夏場の三種の神器のひとつである……と私は勝手に位置づけている。 近頃は南極から空輸されてきた氷あずきしか口にしない私だが、その昔はこのアイスチューチューをよくくわえて遊んだものである。 地域行事での集まりや友達の家に遊びに行けば必ずと言っていい程おやつとして出されたもので、その遭遇率からかなりスタンダード な氷菓子だったのではないかと考えられる。事実、我家も夏場はアイスチューチューを冷凍庫に常備していた。

 はじめから固まっている他のアイスとは違い、このアイスチューチューはシャーベット状以上になるのを待たなければならないのだが、 これはなかなか優れている点じゃないかと思う。「まだかなぁ、まだかなぁ……」と人を待たせておいて、もういいだろうと取り出してみると 「まだか……」なんてなるのは相撲の立ち合いにも通じる憎い演出である。こちらの欲求には合わせず、アイスチューチュー主導とは まったく食えない奴だ。

 そんな気難しい性格のアイスチューチューはとにかく安い。パピコ1個分の値段でアイスチューチューは8個も買えてしまう。 実際に食べる段になったら真ん中から2つに折ることになるので、実数は16個である。これをお買い得と言わずに何と言おう!

 ……2つに折る――と書いて思い出したが、このアイスチューチューを2つに折って友達や弟とわける時、必ずといっていい程 どちらが“取っ手側”の部分をにぎるか、で醜い争いを繰り広げたものである。


取っ手

 このたった2cmの領土を奪い取るため、ジャンケンや兄の権威を振りかざしたりするわけだが、実はこの取っ手をめぐるゲーム性こそが アイスチューチューの蘊奥なのだ。

 パピコみたいにシンメトリーに作られたものではこうはいかない。わけるということを前提にこの取っ手をつけた――かどうかは 知らないが――取っ手のついているアイスチューチューは非常に優れた氷菓子といっていいのではないだろうか。



 ちょっと前から両端に取っ手のついているアイスチューチューも見かけるようになったが、これはアイスチューチューのゲーム性を 潰してしまっているので残念である。

 なんでも平等にすりゃ、いいってもんじゃないですよ。

―2002年10月6日―

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