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「わからない! 教えてクリ子」

 告白してから2週間。あいつからは何の音沙汰もない。

「ほんっと、男の気持ちってわからない!」

 わたしはブーたれながら、家の庭先でひとり地獄突きの練習をしていた。いつかこの手刀で アブドラ・ザ・ブッチャーの首を壊してみたい――そんな夢物語を思い浮かべながら。

「ハミ子、電話よ。クリ子ちゃんから」

 地獄突きが2万回に達しようかというころ、ママが子機を持ってクリ子からの電話を教えに来てくれた。ママは子機を窓からわたしに手渡すと、慌しく居間へと消えていった。また今日もわら人形作りに没頭しているんだ。ほんっと、ママって物好きね☆

「はい、もしもし」
「あ、ハミ子? もう、携帯何回も鳴らしてんのにぜんぜん出ないからぁ」
「ゴメン、ゴメン。今ちょっと庭で地獄突いてたから」
「またあ? アンタほんっと好きね、そうゆうの」
「で、なに? また前みたいに蛙の解剖したいって言うならお断りー」
「いやね、違うって」

 そう言うとクリ子は改まって話し出した。

「あのね、あんたさ……音島に告白したらしいじゃん?」
「えっ、うそ、なんでバレてーら?」
「校庭の隅で倒れている音島を、保健の先生が見つけたのよ。でね、保健室で手当てをしながら詳しい話を聞いてみると、あんたがかかと落としで音島に告ったて……」
「えー、そうなの? ……でも、なんでハミ子がそのこと」
「あたしちょうどその時、保健室で消毒用のアルコール飲んでたから、偶然その話聞いちゃったのよ」
「そっか……クリ子アル中だもんね」
「うん。本当は、あんたの口からそのこと直接聞きたかったんだけどね」

 クリ子はちょっとだけ寂しそうにそう言った。

 正直、いつまで経っても返事をくれない隆志への苛立ちと、ドリームキャストの生産を打ち切ったセガへの腹立たしさとで、親友へ大切な報告をするのを忘れていた。あー、もう、わたしのバカ!

「ゴメンねクリ子……」
「まあ、それはいいんだけどさ。で、どうなの、その後どうなったのよ?」
「………………」
「よくなかった……の?」
「きいてよー、クリ子ー!」

 わたしは全部をクリ子に話した。隆志がぜんぜん返事をくれないこと、返事が気になって受験勉強に集中できないこと、セガがドリームキャストの生産を打ち切ったこと。

「そっか……。そのなんて言うか、ハミ子ってさ、その、ちょっとSの気があるじゃない?」
「やだクリ子。わたしS字の毛なんか生えてないよ!」
「いや、そうじゃなくて。その……攻撃的なとこがあるじゃない。今回の告白も音島にとって、すごく攻撃的な告白だったと思うし……」
「うん」
「だからね、音島ちょっと怖いんじゃないかな。アンタとタイマンで……っていうか、もう一度会って返事するのが」
「えっ、それって、隆志は恋愛に対してすごく臆病な性格ってこと?」
「いや、ていうかね……」
「わかった、ありがとうクリ子! わたし、もう一度自分から隆志を呼び出してみる!!
「いや、そういうことじゃなくてね。……ちょっとハミ子聞いてる? ハミ子!? おーい」

 ありがとうクリ子。なんだかわたし元気が出てきたよ。もう一度隆志と会って、きちんと返事聞いてみるよ。そして、きっとあいつのこと振り向かせてみせる。

 この地獄突きでね!

「もしもーし……」

(つづく)



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