食性は雑食性で、飼育下では餌として与えている小型熱帯魚用の人工餌料や冷凍アカムシだけでなく、飼育容器内に自然発生するボウフラや、水草に付着して混入・繁殖する小型の巻貝、付着藻類等もついばむ様子が観察され、何でもよく食べます。

産卵

 産卵期は4月〜7月で、自然界では水辺のアシの茎や杭等に産卵することが知られています。

 長野市街地の外れにある自宅で、屋外に飼育容器を設置しての飼育下では、ゴールデンウィークが終わる頃からオスの婚姻色がはっきりとしてきて、水温が23℃前後で安定する6月の半ば頃になると、盛んに産卵するようになります。
 2013年には、一歳のペアが1シーズンに5回産卵し、そのペアから得られた総卵数は700粒以上に達しました。

 飼育容器には、トロ船と呼ばれるセメントをこねる時に使われるプラスチック製の箱(間口約80×奥行き約42×深さ約20cm)を使用し、産卵床(産卵させるための基質)には、約15×15cm四方の石製タイルを使用しています(写真7)。

 
 写真7・産卵用の石製タイル(約15×15cm)

 産卵用の飼育容器の底には、観賞魚用水草レイアウト水槽で水草を植栽するためのソイルという人工土を敷き、オオカナダモ等の水草をたっぷり入れておきます(写真8)。

 
 写真8・屋外繁殖用の飼育施設
 タイルを飼育容器の壁にやや斜めになるように立てかけておくと、その内側(容器の壁に対面する側)の表面をオスが数日かけて掃除します。

 やがて抱卵したメスが近くにやってくると、オスは体を小刻みに震わせながらメスに近付いて、あらかじめ掃除してあるタイルの部分にメスを誘導していきます。

 産卵は早朝に行われるようで、午前10頃に観察すると既に産卵は終了しており、タイルの表面に不規則に並んで付着しています。
 一歳のメスで、一回に120粒前後産卵します。

 受精卵は粘着性で、長径が1.5〜2.0mm・短径が1.5mm 程度の球形に近い楕円形です。卵黄は琥珀色です(写真9-1)。

 水温が24℃程度の場合、受精後2日目には発眼して、小さな黒い目が確認できます(写真9-2)。



 
 写真9-1・タイルに付着した受精卵



 
 写真9-2・発眼卵







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