仔魚

 孵化間近になると、最初は黒一色だった眼に、金色の虹彩(白目に見える部分)が現れます(写真9-3)。


 
 写真9-3・孵化直前
  (既に一部孵化が始まっている)


 日昼の水温が 22〜24℃の環境だと、受精後 5〜7日で孵化します。孵化直後の仔魚は、全長5mm程度です。
 孵化直後の仔魚は、下顎やうきぶくろが既に形成されていて、頭部・鰓蓋・体側腹面等には黒色素胞も現れています(図3)。

 全長6.0mmで口が開き、全長6.3mmで卵黄が吸収され(図3)、孵化後5日目頃から盛んに餌を食べるようになります。

 孵化後10日目を過ぎる頃になると、全長は約10mmに達して(写真10)、背鰭と尾鰭が形成され始めます。


 
 写真10・孵化後10日目の後期仔魚


 なお、初期餌料には、飼育容器内に自然発生するプランクトンに加えて、孵化させたブラインシュリンプの幼生を与えています。
 その後、ブラインシュリンプの幼生と粉状の熱帯魚用人工餌料を併用して与えることによって、徐々に人工餌料に慣らすようにしています。
 
 図3・シナイモツゴの仔稚魚(中村守純)
  1. 孵化直後の仔魚, 全長 5.2mm
  2. 後期仔魚, 全長 6.3mm (孵化後4日)
  3. 後期仔魚, 全長 9.3mm (孵化後13日)
  4. 稚魚, 全長 14.0mm (孵化後38日)


稚魚

 後期仔魚から稚魚への移行は驚くほど速く、水温28℃の飼育環境では、孵化後20日前後を境にして、それまで不完全だったり、存在しなかった各鰭が、見る見る間に形成され(写真11)、孵化後24日目になると、兄弟姉妹の殆どの個体で完成します(写真12)。

 その時(孵化後24日目)の全長は13〜14mm程度で、完成した鰭の条数も定数に達しているものと思われます。
 また、写真撮影して拡大して観察すると、鱗が形成され始めていることも確認できます。

 
 写真11・仔魚から稚魚への移行中(孵化後20日)

 
 写真12・孵化後24日目の稚魚
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