霜月祭り
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遠山郷は不思議の国(wonderland)

 遠山郷(とおやまごう)は長野県の南端近く、天竜川の支流遠山川に沿って広がる山深い谷間の地域をいう。

 行政区画上は、飯田市南信濃・飯田市上村(旧下伊那郡南信濃村・下伊那郡上村)に位置し、日本の秘境100選のひとつに数えられている。

 信州の奥座敷とも言われ、古くから愛知・静岡の三遠地域と深く交流を行ってきた土地である。 毎年12月には、多くの神社で寄進奉納のために舞や祈祷を夜通し催す伝統の「霜月まつり」が行われる。

 800年の伝統をもつ祭で、湯を煮えたぎらせた釜の周りを神様や農民などを模した面(オモテ)と呼ばれる仮面をつけた被り手たちが舞い踊りつつ、釜湯かけを行う祭りである。1979年(昭和54年)2月3日に、遠山の霜月祭の指定名称で国の重要無形民俗文化財に指定された。三河・信濃・遠江地方の山境に分布伝承されてきた湯立を中心とする霜月神楽の一典型で、遠山郷にあるいくつかの集落において、12月上旬から日を違えて行なわれる。

 遠山郷では面(オモテ)の種類や舞の動き、囃子の仕方に地域ごとの違いがあり、大別して上町系・下栗系・木沢系・和田系の4つに分けられる。

 下栗の伝承では、元和年間に、悪政に苦しめられた領民が一揆を起こし、参勤交代帰りの遠山領主を大河原峠で殺し、家族や家臣をも殺したところ、翌年から飢饉と悪病が続いたため、遠山氏一族を神として祀り、その死霊祭として始めたのが祭りの起こりとしている。

 また「神様にお湯を差し上げる」「神様に湯を浴びていただきその穢れを祓い、清らかな魂を得て生まれ変わっていただく」という「神様の湯治場」を表した独特のスタイルから宮崎駿監督に大きな影響を与えた祭でもあり、映画「千と千尋の神隠し」の製作の原点ともなった。 ドキュメンタリー映画作家の野田真吉の代表作『冬の夜の神々の宴 遠山の霜月祭』(1970年)の題材ともなっている。

主な産業は、傾斜の強い山肌と独特の気候風土を活かした「赤石銘茶」や蕎麦の生産と、狩猟による山肉(熊肉・猪肉・鹿肉)加工、藤つるなどによる籠細工であり、近年は三遠南信自動車道の整備にあわせて観光にも力を入れている。

「ジビエ」とはフランス語で、天然の野生鳥獣の食肉を意味する
遠山郷はジビエの宝庫

遠山郷に生きる人々の貴重なタンパク源となってきたのが、猪や鹿、熊などの「山肉」である。

最近では、増えすぎた猪や鹿を積極的に利用しようと、官民が力を合わせた「信州ジビエ研究会」などを中心に、斬新なメニューが続々と誕生している。