産業革命は、英国の18世紀の綿工業から起こったといわれています。
工業技術が一定の水準に達した段階で、産業革命が起こるのは法則のようなものです。
産業革命は、世界各地の多様な分野で一斉に始まっていた可能性もありますが、産業が変革する過程が詳細に残されていることや、その後の19世紀の世界で起こったすべての現象を予言する変革だったという意味で、英国の綿工業をもって、産業革命の始まりといってもよいでしょう。
19世紀以降のさまざまな現象は、人類が産業革命の結果として、過剰な工業生産力と工業生産物を手にしてしまい、驚いたことから発生しているといえるのです。
具体的には、 (1)原料の調達と製品の売り先を求めて海外に進出した。
(2)大量生産の開始によって富を蓄積した資本家と、家内工業を失った失業者の二極化が明確になった。
(3)貧富の格差と都市への人口集中の発生。
(4)海外進出を志向する国家間で帝国戦争が起きた。
(5)過剰生産物の発生による景気の循環や大恐慌、これに伴う失業者問題が出てきた。
(6)社会の中に資本家と労働者の階級が発生し、深刻な対立を見せるようになった。
(7)帝国主義の誕生で植民地が生まれた。
(8)貧富の差の拡大が、共産主義思想を誕生させ、共産革命を発生させた。
およそ19世紀から20世紀の世界の問題のすべてが、この産業革命から始まっているのです。
(2004年1月17日「長野市民新聞」より」)
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