お茶の間 けいざい学 (80)
 帝国主義戦争──産業革命の影響大

 「帝国主義戦争」。この言葉はマルクス経済学の側からの言葉かもしれません。資源とマーケットを求めて自分より弱い国々に武力で進出した国々が、自らを呼んだ言葉ではありません。

Hoki

 道具や武器が発見され、世の中に余剰生産物が生まれてからの人類の歴史は、侵略と収奪の歴史ですから、帝国主義戦争が特別のものとはいえないと思います。しかし帝国主義戦争が20世紀を代表する様相を呈したのは、やはり産業革命の影響が大きいでしょう。
 それまでの戦争は権力を握る支配層同士の富と力をめぐる争いの面が強く、十字軍でもモンゴル軍でも兵士が敵側の兵士と戦い、勝てば相手国の富と人民を支配下に置く、というものでした。
 日本でも賤(しず)ヶ岳や関ヶ原の戦いでは一般民衆は弁当持参で見学に駆けつけています。まるでサッカー観戦の乗りです。
 帝国主義戦争も十字軍と同じで、戦争を始めるときはそれぞれにもっともらしい大儀名分を持って始めましたが、その本心は相手国の富を手にいれることだったでしょう。
 ただ、帝国主義戦争や大量の爆薬や鉄、燃料や機会を駆使した戦争であったために、世界規模の戦闘となり、一般民衆を巻き込んだ点が他の戦争と異なっていたかもしれません。
 帝国主義戦争もアヘン戦争や南北戦争と同じで、産業革命によって生じた余剰生産物の売り先と、その生産力を維持するための資源と原材料を確保する目的で、国家が力の格差を背景に他国に武力進出、これを支配下に置くという目的で始まったものでした。
 日本もこの争いの中で血を流し、原爆を投下され、悶(もだ)え苦しみました。
 経済って何なんでしょうね。

             (2004年3月27日「長野市民新聞」より」) 
 
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