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              景気が悪いときに税金を軽くすると庶民がお金を使うので景気刺激になるとか、逆に景気が加熱気味の時には税金を重くして庶民からお金を奪えば、消費が沈静化して景気が押さえられるなどの効果が発見され、税金が景気の調整弁と考えられるようになりました。 
               この考えからは「街に失業者があふれるような不景気の時は、政府が国債を大量に発行して、そのお金をどんどん使えば景気が良くなり、業績好転の企業が人を雇いだし、失業者が減る」と考えたケインズ理論などが生まれました。 
               その理論を忠実に守り、バブル崩壊後の日本経済の低迷を壮大な公共投資バラまきで乗り切ろうとした日本政府の政策は、気の遠くなるような借金を残して失敗してしまいました。 
               経済理論や経済政策はある時代、ある産業構造の中で組み立てられたもので、時代や産業構造が変われば通用しないことが多いのですが、学問とは架空の理論と錯覚している人が多い日本では、マルクス経済学やケインズ学が今でも適用できると考える人々が政策の舵(かじ)取りをしているのです。 
               B29爆撃機を竹槍で突き落とす訓練を陸軍からさせられた太平洋戦争末期の庶民のような悲哀をわたしたちは今、味わっているといえます。 
               日本の百姓一揆はほとんどが重い年貢に対する反乱でした。フランス革命も国王の税金の使い方をチェックしようする運動から始まり、予算を審議する議会と民主主義が誕生しました。 
               その意味で税金を巡る争いは近代史のそのものといえます。 
                         (2004年5月8日「長野市民新聞」より」)  
              
                   
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