黒姫山登山 (登山記) (平成14年6月9日)              

平成14年6月9日、黒姫山に登山をしてきました。この日は、町主催の黒姫山春山登山(山開き)の日ですが私は同行者1名と春山登山とは別にいくことにしました。
朝5時半ごろ目がさめると、青い空をバックに黒姫山がきれいに見えています。今日は、登山日よりになりそうです。実は4時半ごろに一度目がさめたのですが、空は雲に覆われ黒姫山も中腹から上は雲の中に隠れて見えず、今にも雨が降りそうな空だったのです。
この一時間の間に雲はどこかに行ってしまったのです。外に出ると肌寒く、慌ててジャンバーを着ました。

黒姫山の地図を見る

大橋へ

6時に家を出発。今日は大橋を起点する黒姫新道を登ることにしました。6時半に大橋に着き、車を他の方に邪魔にならないよう駐車します。ここから300mほど離れたところに種池、古池を通る登山道がありますが、今日は大橋から登ります。林道のゲートを過ぎ砂利道を歩きます。今日登る黒姫山をはじめ、高妻山、戸隠山、飯縄山が青い空にくっきりと見えています。頬を撫でていく空気はヒンヤリ冷たく、清々しい気持ちになります。
新緑のカラマツの林を歩き、35分ほどで林道終点につきます。

登山道入り口から外輪山まで

ここが登山口になります。取り付きから少しの間は急な登りがあります。急がづゆっくり登ります。小鳥の声を聞きながらカラマツの林を25分ほど歩き新道分岐点につきます。

新道分岐

ここは古い地図で見ると、極楽浄土寺という表記があるのです。実は今歩いてきた道は小谷街道と呼ばれた道で、善光寺から小谷温泉や、焼山の麓の富士見峠を越え越中富山を結ぶ街道が通っていたのです。遠い昔、多くの人がこの道を歩いたのでしょう。そして旅の途中でなくなられた方もいたのでしょう。その人たちを供養するお寺があったとしても不思議ではありません。分岐を左に行くと、大ダルミを越え西登山道と、笹ヶ峰に行く道とに分かれます。この道が小谷街道です。帰りは西登山道を下山します。
分岐から真中の道が黒姫新道です。右に行くと古池、種池に下る登山道です。ここで小休止。時間は7時半を少し過ぎています。10分ほどの休憩の後分岐を出発。黒姫新道を行きます。歩き始めてすぐにブナの林になります。ブナの新緑は美しく、小鳥の声えが耳を楽しませます。道はなだらかなのぼりでハイキング気分です。
ここを過ぎると登山に来たと言うような道になります。道はジグザグに外輪山の尾根まで続きます。汗をかかないようゆっくり登ります。この付近には根曲がり竹があり、タケノコ取りの人がラジオを鳴らしながら取っています。私たちも頂上でタケノコの味噌汁を作る予定でいますので、少しいただいていくことにします。ザックを登山道において竹薮に入っていきます。よく見るとタケノコが出ています。20本ほど取ってザックにしまい、登山を再開、ブナやダケカンバの林を歩きます。ここまでくると白樺ではなく幹の色が薄いピンクがかったダケカンバになります。

木々の間に見える高妻と乙妻山

林の切れ目から戸隠、高妻、飯縄山などが見えるようになります。道は相変わらず急な登りが続きます。林の中にコメツガが見られるようになると、もうひとがんばりです。額の汗を拭い急登を登りきると外輪山の尾根に出ます。林の中から正面に小黒姫山が見えます。道は90度右に折れ尾根歩きとなります。

シラタマ平から頂上へ

分岐から1時間40分ほどでガレ場(シラタマ平)に到着。ここからは火打山、焼山、天狗原山、雨飾山、高妻山、戸隠山、飯縄山、北アルプス、遠くは富士山まで見ることが出来ます。シラタマ平からは快適な尾根歩きが楽しめます。さしずめ雲上のスカイラインといった所でしょうか。尾根の先には黒姫山の山頂がよく見えます。

シラタマ平からの稜線を歩くパーティー
雲上のスカイラインと呼ばれる見晴らしの良い尾根です。

眼下には善光寺平や千曲川,野尻湖などがよく見えます。右側が急斜面になっているところを過ぎると、火口原に降りる分岐に出ます。ここから最後の急な登りになります。疲れている身には少しこたえますが、最後の踏ん張りです。ぬかるみを過ぎるとハイマツが見えてきます。頂上までは後すこし、岩の重なりを乗り越えると頂上です。

黒姫山頂

黒姫山山頂
黒姫弁財天の祠があります。
(七ツ池竜王、大毘沙門天王、
黒姫弁財天)

黒姫山山頂

途中写真をとったり、道草をしてきましたので、頂上についたのは9時50分頃です。
まず頂上にある祠に参拝。無事登頂できたことに感謝をしました。
頂上からの展望はすばらしく360°の大パノラマが楽しめます。この日は富士山も見えていました。頂上北西には半円形の火口が有り、中央には小黒姫山が噴出し外輪山と中央火口丘の間には三日月型の火口原が広がっています。火口原の北西部には、しらびそ平と呼ばれるオオシラビソ、コメツガの原生林があります。

頂上近くから見る火口内
小黒姫山と火口原

頂上には先客が10名ほどいましたが、次から次へ登山者が到着し、また町主催の春山登山の一団が到着すると頂上は80名近い人でいっぱいです。
私たちは景色を堪能した後、岩陰でお湯を沸かし、コーヒーで一服、引き続きタケノコの皮をむき、味噌汁の用意をします。タケノコの硬い節を抜きながら1cm程に切り、コッフェルで10分ほど煮、調味料入りの味噌を入れます。これで出来上がり。頂上で味わうタケノコの味噌汁とおむすびは最高の贅沢です。至福のひと時でした。

火口原へ

火口原

11時半を過ぎたころに下山を開始。来た道を火口原分岐まで戻ります。ここで黒姫新道に別れをつげ、火口原に降りていきます。登山道は途中から岩が多くなり滑りやすくなりますので足元には十分注意して下ります。樹林の中にはオサバグサが蕾みを付け始めていました。道が平坦になったころ、ミネザクラが五分咲き程で咲いています。臭いを嗅ぐとほのかに香ります。ここでサクラの花見が出来るとは思いませんでした。峯の大池付近ではまだ蕾でした。

ミネザクラ
バックの山は小黒姫山

道はT字路に突き当たります。右に行けば七つ池、左に行けば峯の大池、ここは右にいきます。樹林の中を少し行くと、笹が一面に敷き詰められた火口原に出ます。外輪山と小黒姫山に挟まれた火口原の風景はすばらしく、何度来ても感動します。黒姫に登山をされたら是非、火口原まで来ることをお奨めします。この火口原の中央に七つ池があります。七つ池と大池にはクロサンショウウオが生息しています。時間が許せば七つ池付近の笹原にこしを下ろし一休みするのも良いでしょう。

クロサンショウウオの卵塊 峰の大池


火口原から大橋へ

12時半に七つ池を出発し、峯の大池に向かいます。T字路を過ぎると峯の大池です。この池は、どんなに日照りが続いても、水が涸れることは無いといわれています。池の中にはクロサンショウウオの白い卵塊が見られます。道は樹林のなかを行きますが、残雪でわかりづらく、先行者の足跡を頼りに歩きます。残雪地帯を過ぎると、岩が多く滑りやすく注意していないと痛い目にあいます。途中、天狗岩と呼ばれる大きさ3〜4m程の岩が連なる難所を通過します。ここを過ぎると歩きやすくなり、林が開けたところから火打山、焼山や笹ヶ峰がよく見えます。急坂を下ると道は90°左に折れ、ほぼ平らな道となりダケカンバの林の中の快適な歩行となります。笹ヶ峰に向かう分岐を通過し平坦な道は大ダルミまで続きます。ここには大ダルミ高層湿原があり、時期によりワタスゲやヒオウギアヤメの花を楽しむことが出来ます。大ダルミをすぎると25分で新道分岐に到着します。ここからは朝登ってきた道を下ります。約1時間で大橋に到着。振り返れば黒姫が、「またおいで」と声をかけてきたような気がしました。