食物をカロリーで考えるようになった理由

1グラムあたり炭水化物とタンパク質が4キロカロリー、脂質が9キロカロリー

現代のカロリーはいつから

カロリーだけで考えるのは間違い

食物とカロリーの関係を考えるには、17世紀後半にまでさかのぼらないといけません。それ以前から科学者たちは、物が燃える前とあとで、空気の組成が変化していることに気付いていたのですが、17世紀後半には、人間の吸気と呼気の気体の変化は、燃焼の前後の変化と同じではないかという仮説が提案されました。

とはいっても、当時はまだ、「燃焼とはフロギストン(燃素)の放出である」という学説が主流だつたこともあり、それ以上研究は進みませんでした。

しかし、1754年のジョセフ・ブラックによる二酸化炭素の発見、1774年のジョセフ・プリーストリーによる酸素の発見 から、燃焼という現象の本質が次第にわかりはじめました。

そして、呼気と呼気の分析から酸素が減少して二酸化炭素が増加することが発見され、呼吸とは体内での燃焼現象だという考えが生まれ始めます。

さらに、運動量や運動強度に比例して、酸素消費量も増加することが確認されたことから、この考えは、確固たる事実として人々の間に浸透しました。

その後、物理学で運動エネルギーや熱エネルギーや位置エネルギーなどの概念が確立し、エネルギーの総量は不変であるというエネルギー保存の法則が提唱されます。他方で、細胞内での代謝メカニズムが次第に明らかにされ、ブドウ糖や脂質が分解される過程から、生体内エネルギーの共通通貨であるATPの存在が明らかになり、ATP合成の過程もわかってきました。

これらの知識から、食べ物に含まれる栄養素が消化管でバラバラに分解・吸収され、細胞内でATPに変換され、それが体温という熱エネルギーや、筋肉の運動が生み出す運動エネルギーになり、あるいは、新たな器官を作るための材料になる、という仮説が提案されたのです。

このような思考過程を経て、食べ物を熱量(カロリー)で計算する考えが生まれたと思われます。これはようするに、「内燃機関における、投入した燃料と出力としての仕事量の関係」に近い解釈です。

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