カロリーの算出法
3大栄養素(炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質) や食品の熱量は、どのようにして測定されたのだろうか。
測定法は、1883年にルブネル(Rubner)という科学者が考案した
基本的な考え方は1883年から変わっていない
計算式は、[食物の熱量]=[食物を空気で燃焼して発生した熱量]-[同量の食物を食べて出た排泄物を燃やして発生した熱量]となり、これをさまざまな食物や各栄養素ごとに測定します。
具体的には、ポンプ熱量計(カロリーメーター)という機器の中に熱量を計りたい食品(乾燥させてある)と酸素を入れ、電熱線に電気を熱して燃やし、容器内の温度の上昇を測定し、それを熱量に換算することで、カロリー数は測定できます(ちなみに、1カロリーとは水1グラムの温度を1℃上げるのに必要なエネルギー)です。
このようにして得られた熱量を、保有エネルギーと呼び、タンパク質は5.56キロカロリー、糖質は4.1キロカロリー、脂質は9.45キロカロリー( いずれも1 グラムあたり) という値が得られました。いわば「物理的燃焼熱」です。
しかし、たとえばタンパク質1グラムを食べたとして、5.56キロカロリーの熱エネルギーを摂取できるわけではないのです。栄養素ごとに体内代謝や消化吸収率が異なっているからです。このあたりのことを精密に測定しょうとすると、消化吸収率の個人差やその時々の体調も絡んでくるため、厳密に測定するのは現実的に不可能です。
そこで「精密な値でなくてもいいから、概算値が得られる計算方法」が必要とされたのです。この目的に用いられているのが、「アトウォーター(At water)のエネルギー換算係数」です。
この係数は、アトウォーター(1844 ~1907) とルブネル(1854 ~1932 )の、「人間において、タンパク質、脂質、炭水化物の消化吸収率は、平均でそれぞれ92% 、95% 、97 % で、タンパク質については、一部が尿素や尿酸として尿中に排泄されることで、タンパク質1グラムあたり1.25キロカロリーの損失がある」という研究から算出さたものです。
そして、上記のそれぞれの値にエネルギー換算係数をかけ、タンパク質4キロカロリー、脂質9キロカロリー、炭水化物4キロカロリー(それぞれ1グラムあたり)という数値が決定しました。
その後、炭水化物のなかに、人間が消化吸収できない(しにくい)成分である食物繊維の存在が明らかになつたことから、腸内の分解効率も計算に入れました「修正アトウォーター係数」が使われるようになるのです。これによると、アルコール( エタノール)は7 キロカロリー、有機酸は3キロカロリー、ソルビトールやキシリトールは3キロカロリー、デキストリンは1キロカロリーと、カロリー数( それぞれ1グラムあたり) が示されているのです。
私たちがふだん目にする食品や料理のカロリー数は、これらの数値を基に計算されたものです。