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水は生命の源ですが、母親の胎内で羊水に包まれて育つのは、地球上に生まれた生命の歴史をたどっているということです。
35億年前から量的、質的にも全く変化していない
地表の岩石に触れて中和され、空中の炭酸ガスを吸った
地球は誕生直後の数億年間に、現在の8割程度の海水が地表に現れた
生命と大気を作り出す壮大なドラマを演出した海水は、前にも述べた通り、35億年前から量的にも質的にも全く変化していません。地球は誕生直後の数億年間に、現在の8割程度の海水が地表に現れ、生命が誕生する35億年前には、地球内部から水が漏れ出ることはなくなりました。
かつて地球内部のマントルに結晶水や結合水などの形で存在していた水は、今ではほとんど残っていない説が有力です。マントルと地表をつなぐ唯二のパイプは火山と温泉である。温泉は地球内部の水が噴き出ているように見えますが、実際はほとんどが地下に染み込んで再び出てきた雨水で、マントルから出てきた水ではないのです。
地球内部からの水の補給が止まって、すでに35億年以上が経過しました。その間、水は減りもせず、増ぇもせず、海と空と陸の間を循環してきました。海から蒸発した水は、雨や雪となって地上に降り、それは川を通って海に戻っています。
地球の重力から計算すると、分子量18の水は絶対に大気圏の外には逃げ出せません。地球は35億年間、14億立方キロメートルの海水を保持し続けているのです。現在では地球の表面積の70パーセントを占め、平均的な深さは4000メートル弱です。海水の成分は96.5パーセントが水ですが、塩化ナトリウム(食塩)が多量に含まれています。溶存物質の84パーセントが塩化ナトリウムで、8パーセントがナトリウムなどです。残りは金、銀、鋼、ウラン、アルミニウムなどです。
さて、ここまで地球になぜ水が発生し、海のなかでなぜ生命が生まれたかを説明してきましたが、実は、これは人体を知る上で非常に大切なことです。
まず海水と血液の組成がとてもよく似ていることを知っておいてもらいたいのです。もう少し正確にいうと、血液からタンパク質などの大きな分子を除いた成分を血清といいますが、その中のクロール、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの比率がほとんど海水と同等なのです。
そして、母親の血清から作られる羊水のミネラル比率がこれまた海水とほとんど同じなのです。
羊水のなかで成長した人間の胎児は、十月十日の間に、35億年間の生物の進化を体験して生まれてくるということです。その進化の場として海水と同じ成分の羊水が必要だったということになります。
鳥や昆虫などの卵のなかの体液も、植物が実を結ぶ子房のなかの液も、やはり海水に似たミネラル比率であることも納得できるでしょう。海こそがすべての生物の誕生の場であったからに違いないのです。
生物の体内の水は、細胞外液と細胞内液の2つに大別されます。 細胞外液は細胞の外にある水で、血液や細胞間液などがそうなります。これは酸素や栄養を全身に運び、また老廃物や過剰な物質を肺や腎臓を通じて排泄しているのです。
細胞内液は細胞のなかにあって生命現象に直結する重要な働きをしています。体内の水の55パーセントは細胞内に存在しているのです。
さて、体液に含まれている主なイオンは、前にも述べたようにナトリウム、カルシウム、マグ、みシウム、塩素などです。ここでいろいろな動物の体液中のイオン濃度を比較してみます。体液中のナトリウムイオン濃度を100としたときの相対イオン濃度を比較すると、カリウムイオンは海水で3.61、クラゲで5.18、イヌで6.62、ヒトで6.75です。カルシウムイオンは海水で3.91、クラゲで4.3、イヌで2.8、ヒトでは3.1と生物によってほとんど変わらず、海水に近いことがわかります。
マグネシウムを除く、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素などの生物のイオンが海水に近いということは、原始生命が海のなかから発生したという根拠の1つにもなっているのです。