=== 給電部製作と給電点設計[1] ===
軟性バズーカ(同軸シュペルトップ)バランの製作
固定局でのTVI対策とマッチング強化には必要と考えます。モ
ービル局ではいらないと考えがちですが、システムへの回り込み
や、予期しないインターフェアなどを防止するため、給電部を製
作します。
上図の様なしくみになりますが同軸は2V系の物を使用します。
誘電率が0.67であれば他のものでも構いません。FB系のケ
ーブルは被覆の処理や芯線の加工が難しく不適と思います。バズ
ーカを使用したほうが使用しないものより0.2〜0.5ポイン
トもSWRがディップしてくれました(利得・効率もよいはずで
す)。パイプを利用した硬性バズーカの方が再現性もよく、正確
なのですが手軽で加工も簡単な軟性バズーカを採用します。これ
の方が同軸を直接(接合部なしに)給電部に固定でき、フレキシ
ブルで防水も簡単だと思います。耐入力もあり、軽量です。
但し、調整後の形状維持性や再現性に乏しいことが欠点ではあり
スタック以上の製作をめざす方には硬性バズーカキットをお勧め
します。
上図のように頚部の短い圧着端子とケーブルの端切れを用意して
下さい。同軸を下図の様に分解します。網線(シールド)は大切
に扱って下さい。バラした方の外被は使いません。芯線は内被を
剥いて長さ7cm前後により分け、後で1本使います。
写真には示しませんがバズーカは無線機に繋がる同軸(以下主同
軸)に直接作成します。分解した網線を形状を壊さぬよう注意深
く主同軸の外側に被せます。少したるませるように短縮してから
被せて同軸が通ったら、しごいて密着させて下さい。接点の製作
は必ず被せる作業の後で行わないときれいに仕上がりません。
将来の接点部分は1cmの長さに外被を剥いて網線を1方向に撚
ってハンダで固めておきます。主同軸の内外の網線の接点として
幅5mmの外被欠損部を作成して下さい。Lは撚った主同軸の網
線の無線機側の最下端から計測します。この長さにより標的周波
数が変化します。1mmの精度で再現性を認めました(432M
Hz)。
バズーカのヘッド(入り口)を加工します
被せた網線を撚った網線に触れない位置で(約1mmずらす)、
全周ハンダメッキし、形状を安定させます
その後、カッターなどで慎重に余剰部分を切り取りますがこの時
被せる網線と同軸被覆の間隙は必ずフリーにしておいて下さい
(ビニルテープなどで軽く固定して調整に臨んだあと最終的に
エポキシ系接着剤などで防水します)
主同軸の芯線・網線の撚った部分を長さ5mmまで切詰めます。
芯線と網線部分の断端は90°になるようにします。
圧着端子を各断端にハンダ付けします。速やかに作業しないと熱
による変形やショートの原因となりますので注意します。
上図のように完成しました。調整前に融着テープで防水します。
きつく融着テープを巻くと造りによっては特性が変動します。
続いてバズーカのテール(出口)を加工します
外側の網線は撚れや弛みなく被覆の外側にフィットさせます。
芯線を利用して内外の網線の接点を締めつけます。
欠損部の給電点側下端で締めつけると0.5mmの誤差ができ、
L=116.5mmとなり寸法が合います。
余った芯線を切り取り、全周にわたってハンダ付けします。無線
機側の余った網線を罫書き針などでほぐしてから全て切り取って
おきます。
製作したバズーカのn倍長の同軸にて直下型プリアンプまで結線
すると、よりよいマッチングが期待できると考えます。
バズーカは何個か作ってより特性のよいもの再現性のあるものを
選ぶようにして下さい(一発目は失敗することが多い)
1200MHz帯の1λヘンテナを製作するときには精度から考
えて軟性バズーカを使用しない直接給電法も良いと考えます
(付)ブームの軽量化と給電点設計
(イレクターを使用しない場合の給電部取り付け)
他のページでも30mmφの金属角パイプを使用してヘンテナブームを構築して
あり、エレメント絶縁の是非につき多数の御質問をいただきました
ヘンテナのエレメントは電気的に支持部が0V(ゼロボルト)になる設計なので
輻射器以外のエレメントでは支持部を金属ブームから絶縁する必要はありません
からオブジェ全体の軽量化が図れます
但し、輻射器は電気的に必ず絶縁する必要がありますので、以下のような給電点
取付けのヒントがあります(他に名案があるかたはどんどん投稿して下さい)
[1]シリコン製ブッシュで絶縁する方法
シリコン製ブッシュ
上図の青色の部分がブッシュですが、30φ角パイプにブッシュφの穴を
貫通し、そこにバズーカの端子(赤)・輻射器の支持部(緑)を長いサラ
ねじ(黄)で貫通固定する方法があります
この方法は角パイプ内のネジの金属がスタンディングに影響する可能性を
残しますが、いまのところ悪影響があるというユーザーからのレポートは
いただいておりません
[2]アクリル製プレートを使用する方法
上図の青色の部分がプレートですが、ここに短いサラねじ用の穴とサラね
じの頭と同φの穴をアクリルプレートの厚みを利用して設け、バズーカの
端子(赤)・輻射器の支持部(緑)を短いサラねじ(黄)で貫通固定した
ものをさらに30φ角パイプに貫通固定する方法があります
この方法は角パイプ内のネジの金属がスタンディングに影響する可能性を
持たず、構造的にも安定しますがアクリルプレートでオフセットされた中
心線(支持部の列)の直線性にこだわる場合は他の絶縁不要なエレメント
とブームの間にもプレートと同じ厚さの絶縁体を入れなければなりません
但し、中心線がずれたヘンテナでの運用にも今のところ問題は認めません
※上図の黒い四角形が30mmφ角パイプの横断面です