情動の涙にはスイッチング効果がある

悔し涙も、悲しみの涙も、そして感動の涙も情動の涙。

人は、情動の涙を経験しながら成長する

情動の涙はストレス解消になる

ストレスをわかってもらうための涙も、悔し涙も、悲しみの涙も、そして感動の涙もすべて「情動の涙」に含まれます。

人は、こうしたさまざまな情動の涙を経験しながら成長していきます。

実は、情動の涙なら、どの涙を流しても、脳にとってはストレス解消になります。なぜなら、涙を流す「涙腺」は、副交感神経のコントロール下にあるからです。涙は、副交感神経の興奮によって流れているということです。

一般的に「ストレス状態」というのは、交感神経の緊張が非常に高まっている状態をいいます。

人間は起きている間は交感神経が優位に働くので、覚醒状態にある限り、高まってしまった交感神経の緊張を殺めることはなかなかできません。この緊張を緩める最もシンプルな方法は、寝てしまうことです。寝てしまえば身体は自然と副交感神経優位に切り換わり、交感神経の緊張は緩むので、ストレスも緩和されます。ぐっすり寝た翌朝スッキリするのは、ストレスが軽減されるからなのです。

このように、基本的には、起きている間は交感神経の優位を簡単には切り換えることができません。しかし、覚醒状態にありながら(起きた状態のまま)、副交感神経優位に変える方法が1つだけ存在します。

それが「情動の涙を流す」ことなのです。

では、どういうときに私たちは情動の涙を流すのでしょう。ひと言で言うと、それは、「脳ストレス」を感じたときなのです。まず、子供が泣くのは「不快」が原因ですから、精神的なストレスが原因であることは明らかです。思春期から青年期に流すことが多い「悔し涙」や「悲しい涙」も、悔しい、悲しいという不快から生じているのですから、やはりストレスが涙の誘因になっています。

感動の涙はストレスではないように思うかもしれませんが、実はこれもストレスが関係しています。

たとえば、オリンピック選手などは、試合が終わるまでは大変なプレッシャーと戦っているわけですから、これはとても大きなストレスです。そのずっと戦ってきたストレスから解放されるのが、試合が終わったときであり、表彰台に上るときです。彼らが、こうした瞬間に泣くのは、長いストレス状態から解放されるからです。そして、それを見て一緒に涙を流す人も、選手に共感することによって、「ストレスからの解放」をともに体験しているのです。ストレスからの解放を体験するということは、そこに至るまでのストレスも共有しているということです。

ドラマや映画で泣くのも、基本的には同じです。主人公や感情移入をした登場人物の人生を、ドラマを見ることで疑似体験し、そのときの気持ちに共感したことによって涙が流れるのが感動の涙だからです

さまざまなストレスを感じることで交感神経が高まり、そこから解放されることで涙が流れ、副交感神経優位のリラックス状態に移行する、というわけです。

情動の涙が流れるとストレスが解消されるのは、脳内が交感神経の緊張状態から、副交感神経優位にスイッチングされるからなのです

それはうつ病の患者さんです。うつ病の人たちが泣きたくても泣けないのは、前頭前野の機能低下が原因です。なぜなら、情動の涙にはどれも前頭前野がかかわっているからです。単なる不快から生じるストレスには仕事脳が、悔し涙や悲しい涙は、快が得られなくなったストレスが関係しているので学習脳が、そして共感を必要とする感動の涙には共感脳がそれぞれかかわっています。そのため、これらの脳がきちんと機能しない1 54と、泣きたくても泣くことができなくなってしまうのです。

ところが、ストレスが溜まって苦しくても、「泣きたいのに泣けない」という症状を訴える人たちがいます。

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普段、私たちは、「泣こう」と思って泣くわけではありません。涙が次第にあふれてきて、抑えようとしても抑えきれずに泣いてしまう、そして1度涙が流れると、止めようと思ってもなかなか止まらないというのが自然な涙です。こうした状態になるのは、脳の中で過緊張からリラックスへのスイッチングが行われるからですが、うつ病の人は、脳の機能が低下してしまっているために、スイッチングを行うことができないのです。これが「泣きたくても泣けない」という状態の正体です。

では、どうすれば泣けるようになるのでしょうか。地道な方法ですが、やはりセロトニン神経を鍛えて共感脳の機能を高めるしか方法はないのです。

涙を流すには共感脳の働きが絶対に必要です。もし、うつ病の人が泣きたいときに泣けるようになったとしたら、それはもう病気の回復が始まっている証拠なのです。

5分間セロトニントレーニング | 健康メモ

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