泣ける作品で「週末号泣」の準備を

感動の涙を流すことは、ストレスを消すと同時に、共感脳の機能を高めること

クールな脳が号泣する直前には、驚くほどの興奮がある

脳の血流が増えれば泣く準備は万端

いざというとき、無理をせず泣くことは大切ですが、私は、いざというときちゃんと泣くためにも、普段から定期的に感動の涙を流すことをおすすめしています。なぜなら、感動の涙を流すことは、ストレスを消すと同時に、共感脳の機能を高めることにもつながるからです。

共感脳は、普段はあまり興奮しないクールな脳です。そんなクールな脳が号泣する直前には、驚くほどの興奮を見せます。脳の専門家は脳の血流を測るグラフを見ているだけで、泣き出す前に、「もうすぐ号泣するよ」とわかります。

初めて専門家の実験を見る人は「どうしてわかるのですか? 」とビックリしますが、先に触れましたように、号泣する前には必ず「号泣トリガー」が現れるので、簡単にわかるのです。

これは何を意味しているのかというと、私たちの身体では、「泣く」という反応が起きるより前に、脳の方が変化しているということです。

セロトニン神経を鍛えることが、共感脳の機能を高めることにつながると申し上げました。リズム運動などセロトニントレーニングをすると、共感脳の血流は確かに大きくなります。

でも、最も共感脳の血流を増やし、クールな脳を興奮させてくれるのは、「号泣」なのです。号泣は一瞬にして劇的なほどの潤いを前頭前野に与えてくれるのです。

セロトニントレーニングは毎日することが重要でしたが、号泣はとても効果が大きいので毎日する必要はありません。『

今まで泣くことを自制してきた人や、セロトニン神経の機能が低下している人は、泣こうと思ってもなかなか泣けません。これもやはり、脳の機能低下によって、「脳の変化」が起きにくくなってしまっているのです。

ですから、普段からセロトニン神経を鍛えて、共感脳を潤し、たまに号泣して共感脳を大きく刺激するというのが、最も理想的な「共感脳活性法」なのです。

リズム運動や太陽光の刺激によるセロトニン活性は、車でいうならエンジンのアイドリングです。エンジンがアイドリングによって温まっていないとスムーズな加速ができないように、共感脳もまた、セロトニン神経が活性化していないと、スムーズに号泣することができません。

涙で大きなストレス解消効果を得るためにも、やはり日々のセロトニントレーニングは必要だということです。

また、共感の涙は「共感」しなければ流れません。ですから、泣くためには共感に至るプロセスが、どうしても必要です。専門家は涙の実験に『火垂るの墓』という作品をよく使うのですが、おもしろいことに、以前にこの映画を見たことのある人の方が、初めて見る人より早く泣けるのです。

内容を知っているのですから、逆のように思いませんか?しかし、実際は違います。

というのもこれは、以前見て泣いたときの「経験」が、共感に至るプロセスを短縮させてくれるからです。そして、泣き方も以前見て泣いたことのある人の方が、激しかったのです。

これは、繰り返して見たことによって、共感の度合いが深まったからだと考えられます。

「これはいつ見ても泣いてしまう」という泣ける素材を1つ持っていると、すぐに号泣状態に入れるので、ストレス解消の強い味方になってくれます。みなさんもぜひ、自分の泣ける一作を持ってください。

先ほど、涙を流すのは朝よりも夜の方が適していると言いましたが、同様に、月曜日よりは週末の方が効果は高いといえます。

1週間仕事をすれば、日々セロトニン神経を鍛えながら頑張ったとしても、やはり週末にはそれなりにストレスが溜まってしまいます。その溜まった1週間分のストレスを涙とともに洗い流せば、スッキリとした脳で休日を迎えることができます。それはきっと新しい1週間を乗り切る鋭気を養ってくれることでしょう。

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