ストレス解消には「笑い」よりも「涙」
ストレス解消できる涙と逆効果になってしまう涙がある。
笑いよりも効果のある情動の涙
身体的ストレス経路を抑制する涙の働き
情動の涙を流すことが、大きなストレス解消効果を持つことがわかりました。では、情動の涙を流すことが、なぜ身体的ストレス経路を抑制することにつながるのでしょうか。
それは、涙が副交感神経の興奮によって流れることと関係しています。私たちの身体は、起きている間は交感神経が優位に働き、リラックスしたり眠ったりしている間は副交感神経が優位に働きます。そして、この2つの自律神経のバランスが整ったとき、最も健康な状態が保たれるようになっているのです。
ところが、不規則な生活や過度のストレスで、私たちの身体はどうしても交感神経優位に傾きがちです。特に、ストレスが溜まっている状態というのは交感神経の緊張が高まっている状態なので、ストレスが溜まっていると感じたときは、意識的に副交感神経を刺激することが、健康を維持するためには必要なのです。
しかも、副交感神経を刺激することは、同時にその支配下にある免疫システムを活性化させることにもつながります。
ですから涙を流すことは、
- ストレスを軽減させるだけでなく
- 自律神経のバランスを整え
- 免疫システムを活性化させる
免疫を活性化させるというと、最近は「笑い」にその効果があることが注目され、医療の現場でも「笑い」を取り入れているところが増えてきています。
「笑い」と「泣き」は、正反村のことのように思われていますが、大笑いすると涙がこぼれることからもわかるように、実はこの2つは、脳の働きでみると、非常に似ているのです。
おもしろいビデオを見て笑っている人の前頭前野の血流を調べると、やはり血流が増えていることがわかります。ただ、泣きの場合と比べると、増加の程度は弱く、時間も短いものに止まり、号泣したときのような大きな変化は見られませんでした。さらに、ビデオを見る前後のPOMSテスト結果も、泣きの場合とは少し違っていました。
号泣したときには緊張・不安と混乱が改善していたのに対し、笑いでは活力の増加が大きく現れていたのです。
つまり、同じようにストレス解消力があるといっても、涙を流したときは「スッキリ」し、実った場合は:空丸が出る」という違いがあったのです。実験結果から、「笑い」にもストレス解消の効果があることがわかりましたが、それは涙による効果よりは遥かに小さなものだといえます。
脳内の変化が小さければ、それだけ副交感神経への刺激も小さくなるので、免疫の活性度合いも、笑いより泣いたときの方が大きいと考えられます。
でも、いくら効果が大きくても、号泣するのは結構大変なので、とてもではありませんが毎日はできません。それに対し、笑いは涙より短時間ででき、身体的・精神的負担も少ないので、楽しみながら毎日でもできます。
ですから、普段は笑いで元気を出し、いざというときには号泣して、溜まったストレスを洗い流してしまうというのがいいのではないかと考えます。
また、この2つは効果も少し違うので、スッキリしたいときと元気を出したいときなどで、涙と笑いを使い分けるのもいい方法といえるでしょう。
詳しい涙のストレス解消についてはこちら