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ビタミンは個人がライフスタイルに合わせた摂取方法がベスト。ビタミンの基礎知識に加えてどんなビタミンを消耗しやすいかを突き止めて効率よくビタミンを摂取する。お酒を飲む飲酒者のためのビタミン摂取方法です。
アルコール摂取が多い人のビタミン
お酒を飲む機会が多い人、お酒が好きな人のためのビタミン摂取法
喫煙ほどその害が知られていませんが、連日の飲酒もさまざまなビタミンの潜在性欠乏症を招きやすいので、注意が必要です。当然、肝臓への負担も増大します。
腸管から吸収され、血液中に入ったアルコールは、大半が肝臓で分解されます。この代謝を行うのはひとつひとつの肝細胞で、まずアルコール脱水素酵素(ADH)働きでアルコールがアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドは吐きけや頭痛など、悪酔い、二日酔い症状の原因となる物質です。 アセトアルデヒドはさらに、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸に分解され、酢酸のまま排泄されるか、エネルギーとして利用されて、水と二酸化炭素に分解されます。
アルコールの吸収から分解までのこの過程で、体内のビタミンにさまざまな影響が生じるのです。酒量の多い人は、酒を飲まない人にくらべて血中ビタミンC濃度が低く、これはアルコールが腸管でビタミンC の吸収を阻害するためとされています。
アルコールとCを同時に摂取すると、Cのみを摂取した場合にくらべ、血中C濃度が上昇しないことから、そう推測されるわけです。
過度のアルコール摂取はビタミンB1の欠乏症から脳がおかされてしまうケースも
アルコールの分解を担うADHやALDHが働くには、活性型ニコチン酸が補酵素として必要ですので、アルコールを飲めば飲むだけニコチン酸が消費されることになります。
酒量がふえ、アルコールの分解がADHだけで追いつかなくなると、肝細胞内のミクロソーム・エタノール酸化系(MEOS)も分解に当たりますが、このMEOSでは多量のビタミンBlが消費されます。
このため、連日、過度の飲酒をつづける人の中に、ビタミンB1欠乏からは脳をおかされるウェルニッケ脳症やコルサコフ症候群を、ニコチン酸欠乏からはベラグラを発症するケースさえ報告されています。
脂肪肝を防ぐために多量のビタミンB2も使われる
悪酔いに苦しんでいるときは血中アセトアルデヒド濃度が高まっていますが、アセトアルデヒドはパントテン酸の活性化を阻害し、体内での利用効率を悪くします。
アルコールの代謝に追われる肝細胞にはフリーラジカルが発生しやすく、抗酸化ビタミンによる消去が追いつかなければ、一晩の飲酒だけで過酸化脂質が著しく増加します。
これを分解するために、ビタミンB2が多量に消費されます。抗酸化ビタミンやB2による脂質過酸化の防御がついに破綻すると、脂肪肝などのアルコール性肝障害を招きます。障害を起こした肝臓は、ビタミンDを活性化する働きが不十分になり、活性型Dの不足から骨がもろくなる心配も出てきます。
連日の多量の飲酒はこのように、多くの潜在性ビタミン欠乏症をつくる危険があるのです。体に必要なビタミンを無益に消費しないためには、酒量を控え、ときには休肝日をつくることです。 飲むときは酒の肴を必ずとり、失ったビタミンの補給を心がけてください。赤ワインの抗酸化作用が注目されていますが、フランス人の平均摂取量(l日約180cc)を超えて飲みつづければ、アルコールの害のほうが上回ります。フランスはアルコール性肝硬変が世界一多い国でもあることを忘れてはなりません。