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ビタミンは個人がライフスタイルに合わせた摂取方法がベスト。ビタミンの基礎知識に加えてどんなビタミンを消耗しやすいかを突き止めて効率よくビタミンを摂取する。糖尿病の方のためのビタミン摂取法。「糖尿病」の患者数は328万9,000人(男性184万8,000人、女性144万2,000人)となり予備軍を併せると現代病と言えます
糖尿病になってしまった人のビタミン摂取
糖尿病はガン、心臓・脳卒中に次いで重大な生活習慣病です。厚生省の調査によると、糖尿病の疑いが強い人は40歳以上で9人に1人、糖尿病の疑いがある人を含めると、その数は1500万人、成人の6人に1人にのぼると推定されています。
糖尿病はインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が障害され、インスリンの分泌が悪くなった結果、血糖値が高くなる病気です。
膵臓のβ細胞は酸化ストレスに弱い細胞で、たとえばアロキサンという毒物をネズミに与えると、スーパーオキシドやヒドロキシルラジカルなどの活性酸素を発生したβ細胞は容易に破壊され、糖尿病を誘発します。
血糖値の高い糖尿病予備軍のかたはビタミンC、Eなどの抗酸化ビタミンをとり、活性酸素の速やかな消去を心がけるべきです。
糖尿病患者に多いB1とCの潜在性欠乏症
糖尿病になると、健康なときにくらべ、さまざまなビタミンの血中濃度が低下することが明らかにされています。糖尿病患者では概してビタミンA(レチノール)の血中濃度が低く、βカロチンの血中濃度は逆に高いといわれます。これはβ カロチンからビタミンA への変換が、なんらかの障害によってうまく行われていないためではないかと考えられています。
糖尿病で特に低値になるのがB1とCの血中濃度で、潜在性ビタミン欠乏症の割合はB1が54%、Cが32%にも達します。原因はやはりビタミンの代謝になんらかの異常が起こり、B1やCが別の物質に変化したり、利用されずに排泄されているためと考えられます。糖尿病はこB1やCをとってもとっても、体内でビタミンとして利用されにくい状態なのです。
SODが酸化されて抗酸化作用を失う
糖尿病が恐ろしいのは糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、動脈硬化などの合併症を高率で伴うためです。血糖値のコントロールが悪い状態がつづくと、血糖が赤血球中のヘモグロビンに結合したヘモグロビンAICなどの糖化タンパクがふえますが、この糖化タンパクがつくられる過程で活性酸素が発生します。
他方、スーパーオキシドの消去に働くSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)などの酵素も糖化されて、本来の抗酸化作用を失います。
このように血液中で活性酸素の発生が克進した状態が5年、10年つづけば、全身の毛細血管はボロボロになります。この結果、腎臓の血液濾過装置である糸球体の機能が低下すると糖尿病性腎症を、網膜の血管が傷つけられると糖尿病性網膜症を併発します。さらに冠動脈や脳動脈に動脈硬化が進めば、心臓病や脳卒中を発症することにもなるわけです。
糖尿病では、抗酸化ビタミンであるCの血中濃度が低いことが、こうした合併症を促しているものと考えられます。動物実験では、糖尿病のネズミにビタミンEとセレンを添加したエサを与えると、腎症の発症時期を遅らせることができることが確かめられています。糖尿病を良好にコントロールし、合併症を防ぐためにも抗酸化ビタミンの積極的な摂取が求められるのです。