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ビタミンは個人がライフスタイルに合わせた摂取方法がベスト。ビタミンの基礎知識に加えてどんなビタミンを消耗しやすいかを突き止めて効率よくビタミンを摂取する。心臓病・脳卒中の方のためのビタミン摂取法。
心臓病、脳卒中になってしまった人のビタミン摂取
老化や生活習慣病を背景として、心臓の筋肉(心筋)自体に酸素と栄養を送っている冠動脈に血流障害を生じるものを虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)といいます。 この病気では冠動脈が、動脈硬化やコレステロールの蓄積(プラーク)によって狭くなったり、詰まったりするため、心筋に血液を供給できなくなります。
血中E濃度が低い人が狭心症の発作を起こす率は2.7倍も
<欧米の多くの国では心臓病が死因の第1位を占めています。心臓病の温床となるのが冠動脈硬化ですが、その動脈硬化を促進するのは括惟酸素です。
このため、欧米では抗酸化ビタミンに心臓病予防の期待が集まり、疫学調査や介入研究が盛んに実施されています。 狭心症の患者6000人の発作の頻度と血中ビタミン濃度を調べた研究では、ビタミンC、E、そしてβカロチンのどの血中濃度が低くても、狭心症の発作を起こしやすくなることが明らかになりました。
ことにビタミンEとの相関性は高く、血圧、血中脂質、喫煙など他の危険因子の条件が同じなら、血中E濃度が低い人は高い人の2.7倍も狭心症の発作を起こしやすくなるとされています。
ビタミンEで心筋梗塞の再発率が77%も低減
冠動脈硬化と診断された2000人にビタミンEを1日400IU~800IU服用してもらい、2年半以上追跡した英国の研究試験) によると、Eを服用しない人にくらべ、心筋梗塞の発症率が有意に減少しました。
ことに心筋梗塞の発作を起こした経験のある患者の場合、2回目の発作を起こすリスクはE の服用で77%も低減したとされています。 一方、フィンランドの喫煙男性約3万人を対象とした介入では、1日50mgのビタミンEが与えられましたが、心筋梗塞による死亡率はやや低下するにとどまりました。
これらの結果から、ビタミンEに心臓病の予防効果を期待するには1日100mg以上の摂取が目安として示されています。
血中コレステロールや血圧を調整するビタミンC
ビタミンEのこうした効果は、血液中のLDLの酸化を抑え、動脈効果の進行をくい止める抗酸化作用によるところが大でしょう。ビタミンCにはLDLの酸化抑制効果はないものの、Eとの相乗効果が注目されています。
チェコスロバキア国立栄養研究所が行った研究結果をまとめると、ビタミンC1日300~1000mgの摂取で血中LDLコレステロールが7~19%低下し、ことに高脂血症の患者に有効であったとされています。
コレステロールは食事から摂取されるだけでなく、私たちの体内でも合成され、胆汁酸をつくる材料となります。ビタミンCは、体内でコレステロールの合成を阻害する一方、胆汁酸の合成を促進する二重の薬理作用によって血中コレステロールの低減に働くと考えられています。
ビタミンCはまた、血圧の調整にも働きます。鹿児島大学医学部の研究によると、最大血圧160mgHG以上の高血圧患者に、ビタミンC針1日2000mgを8週間服用してもらった結果、最大血圧、最小血圧ともに12%も下がりました。
抗酸化に働き、使いものにならなくなったEを再生するCの作用については前に述べましたが、Cがこのように血圧や血中LDL コレステロールの低減に働く一方、EがLDLの酸化抑制に働くという意味でも、相乗効果が期待されるわけです。
心筋梗塞のリスクがEとCの併用で低減
1万人以上の高齢者を対象に、心筋梗塞による死亡を6年間にわたって追跡した米国国立老化研究所の研究によると、ビタミンEを含むサプリメントを服用していない人にくらべ、服用した人の死亡率は47%も低く抑えられました。
さらに詳細に分析すると、心筋梗塞のリスク低減にC単独では効果がありませんが、Eは単独でも効果があり、EにCを併用するとさらに低減効果が高まることが明らかにされています。 最近のトピックとして、ホモシステインの血中濃度が高い人は冠動脈などに狭窄を起こしやすく、ホモシステインの血中濃度を下げる葉酸の効果が注目されています。
葉酸をビタミンB12やB6とともに摂取すると、その低減効果が、さらに高まることが確認されています。
血中脂質や血圧が高めで心臓病や脳卒中が心配な方は1日100mg以上のEと500mgのCにプラスして葉酸、B12、B6の積極的な摂取がおすすめです。